Tangle Towerの感想です。
公式トレーラーはこちら↓
(英語字幕ですが、日本語版もボイスは英語なので雰囲気は掴めるかと思います)
実績全達成済。
プレイ時間は7時間弱でした。
この世界観から抜けるのが惜しいくらい、可愛くて素敵なグラフィックとBGMでした。
一言感想:キャラクターのデザインと掛け合いがかわいい。アニメーションも素敵。
あらすじ
Tangle Towerと呼ばれる住宅で殺人事件が起きた。
被害者は19歳の画家、フレイヤ・フェロー。
彼女は友人であるフローラ・フェローの絵を描いていた際、何者かに刺殺された。
事件を解決するためにTangle Towerを訪れた探偵のグリモアとサリーは、そこに暮らす人々に接触してTangle Towerの秘密とフレイヤの死の真相に迫る。
ゲームについて
・日本語音声……なし(英語のみ)。フルボイスです。
・日本語字幕……あり。キャラ同士の掛け合いが素晴らしいです。
・主人公……探偵・グリモア&サリー。
・ゴア表現……殺人事件を扱っているので血表現はありますが、絵が可愛いのでそんなにグロくはないと思います。
基本的にはポイント&クリックで調査して、人と話をして、集めた手掛かりを元に時々推理(という名のパズル)をするような流れになります。
探索中もパズルが度々登場し、解かないと手掛かりが得られないため、パズルゲーが苦手な方は少し注意が必要かも。
※ただ、パズルはほとんどノーヒントで解ける易し目の難易度です。
あまり色々書くとネタバレになってしまうので詳しくはネタバレありの記事後半で触れたいと思いますが、シナリオには若干消化不良な部分があります。
ただ、このゲームの主人公であるグリモアとサリーは開発会社さんの前作品にも登場しているそうなので、ひょっとしたら続編が出るのかも?という期待を抱けた&キャラクターと世界観の可愛さに魅了されたわたしは特に気になりませんでしたが、すっきり終わらない話が嫌いという方は注意が必要かもしれません。
感想(※この先ネタバレあり)
BGM
とてもよかったです。オーケストラ調でお洒落。
フルートの音色は奏者さんの息継ぎまで入っていて、気合の入り方がよくわかりました。
ゲーム開始してすぐくらいに流れていたこの曲はグリモアのテーマだったんですね。
ゲーム全体について
※この先は画像も含めネタバレがあります!
もうとにかくグラフィックがとてもかわいい!
こういうポップな世界観、好きな方は多いのではないでしょうか。
可愛いキャラクターの掛け合い、合間に挟まれるパズル、世界観によく合ったBGM。
プレイ中にわたしが思い出したのは、日本のゲームであるレイ○ン教授シリーズでした。
ちょっとだけ雰囲気が似ている気がします。
Tangle Towerに住んでいる人たちはみんな親族+名前表記が英語なのでただでさえ外国後の名前に疎いわたしは混乱しがちでしたが、人物紹介画面がちょくちょくアップデートされていくので親切でありがたかったです。
Tangle Towerを遊んでいて凄いなと感じた所は、フルボイスであるという点&とても気合の入った立ち絵アニメーションです。
それから、室内に居るキャラクターをクリックした時の動き。
1人1人挙動にそれぞれ個性があって素敵でした。
もう本当にどこでもあちこちクリックで調べることが出来るところも最高でした。
調べた物なんにでもコメントをしてくれるグリモア&サリー。
2人の掛け合いをずっと見ているうちにとてつもない愛着がわいてきます。
すごい情報量のアートギャラリーも見られます。
これDLCじゃなくていいんですか!!?
ありがとうございますありがとうございます感激。
謎解きはどうにかすべて自力でクリア。
ただ、フレイヤの部屋にあった絵筆の問題はガチャガチャやってたらクリアしてしまったのですが、画面が暗転する中で慌てて正解になったスクショを撮って後でじっくり確認してみてもどうしてこれが答えになったのかさっぱりわかりませんでした。
暗転の中慌てて撮ったスクショ↑
だれか馬鹿なわたしにこれが正解になる理由を教えて……。
☆他、今回Tangle Towerを遊んで初めて知った事の個人用メモ。
・アビスリウム、アクアリウム、という単語は聞いたことがあるのですが、ビバリウムは初めて知りました。
昆虫を飼うためのものなんだ。
※昆虫に限っているわけではなく、“その生き物が生活する空間を再現し、動植物の生態を観察するための場所”の総称のようです。勉強になりました。
・Penelopeって名前はネイティブの方が読むと「ペネロピ」に聴こえるんですね。
初めて知りました。楽しい。
・『Hawkshaw』という単語。
これはそのまま“探偵”という意味になるそうです。
detectiveのほうは見聞きしたことがあったのですが、Hawkshawは初めて知りました。
覚えておきます。
キャラクターについて
みんな個性が爆発していてとてもとても好きです。
今回はその中でも特に書いておきたい人たちについてメモしておきます。
グリモア
これはどちらかというとわたしの“日本語表現における性癖”の話になるのですが、日本語の一人称や喋り方で表現される個性が好きです。
“原語ではなく日本語訳版のグリモア”についての話になってしまいますが、見た目はちょっとチャラそうというか自分の思い描く探偵っぽくない印象を受けたグリモアが、屋敷の人が相手なら相手が10代の若者であるフィフィやポピーであっても敬語&一人称が『私』だったので痺れました。
口調がしっかりしていて相手に対する敬意が見える敬語を使っているだけでも「ちゃんとした大人だしちゃんとした探偵だ……!」と感激できる日本語、好きです。
屋敷の誰かが他の誰かに対して辛口な事を言えば「それはちょっと言いすぎでは?」と窘めたり、踏み込まない方が良さそうな時は黙ったり、探偵なだけあって頭の回転が早そうで紳士的なところも素敵だなと思いました。
サリー
謎解きの際、グリモアと2人で話しているというよりも画面のこちら側(=プレイヤー)を認識しているかのような語りかけをしてくるところがあり、一緒に謎解きをしている感があって結構好きな仕様でした。
それとボイスが非常に好みです。
ちょっと気だるげなお姉さんという印象で好き。
誰相手でも物怖じせずガンガン「聞くべきことを聞く」姿勢がかっこいい。
クールなのに結構ノリが良く、周囲のものを調べた時はネタに走ってくれることもありそのギャップが素晴らしかったです。
フローラ
ゲーム内では結局一言も言葉を発しませんでした。
元々無口だったけれど可愛がっていた鳥が亡くなってからは更に塞ぎ込んだ、と知って切なくなりました。
写真を見ると、いなくなってしまった鳥はどうやら彼女のお父さんと一緒に可愛がっていた鳥だったんですね。
わりとギスギスしているTangle Tower内ですが、フローラのことを悪く言う人は誰も居ませんでした。
きっととても優しい女性なんだろうなと思います。
彼女の髪の毛がなびくアニメーションは開発陣もお気に入りだとアートブックに記載されていましたね。
わたしもこのアニメーション大好きで、何度も何度も見てしまいました。
フェリックス
フローラの旦那さん。
奥さんであるフローラをとても大切にしていて素敵だと思いました。
グリモアとサリーは素直に物事を見て感想を言うため、彼の作品を「あまり上手ではない」と感じていると取れる発言をするのですが、フェリックス本人は自分の作品をとても良くできていると胸を張っていました。
こういう気持ちは創作者として一番素敵なことだなあと思いました。
自分自身が自分の作品の一番のファンになれれば、きっとそれ以上に嬉しいことって無いですよね。
フィッツ
このガタイにその喋り方+一人称『僕』はずるいよ。
好きにならないわけないでしょこんなん。
フィッツが、「フローラはこの殺人事件に関わっていると思う?」という質問に対して「ありえない。彼女は自ら進んで苦しみを増やすような人じゃない。自分以外に対しても」と返答していて、詩的で美しい表現だな~と感じました。
そして自室の物の無さに啞然。
流行りのミニマリストかな?(すっとぼけ)
ペネロペ
みんなと仲良くしたい子に見えるものの、「フローラのことは尊敬してる。でも、彼女は静かにしていたいタイプで私はちょっとうるさすぎて少ししか仲良くない」「フィフィは私の事を無視してる。知的レベルが違いすぎるんでしょうね。……別に私は平気だから」と、ちょこちょこ自己評価の低い一面が窺えます。
だからこそフィッツみたいに無口で穏やかな優しい人と婚約してるっていうのがまた良いですよね。
きっと彼と一緒ならペネロペも自分らしく居られるのだろうなと思っていました。
……あと、被っているのは帽子じゃなくて本物の鳥だったんですね。
結末について
※ここから先はシナリオの結末や犯人について言及しているので、プレイ中&プレイ予定の方はご注意ください。
犯人はとても意外でした。
てっきりポインター教授かフィフィかなと思っていました。
ポインター教授はミスリードを誘うためか怪しさ満点でしたし、フィフィは……なんとなく、フレイヤに対して愛憎入り混じる感情を抱いているのかなと勝手に思っていたので。
だって、フィフィの父親であるフェリックスがフローラへの誕生日プレゼントとして『彼女が大切にしている人たちに囲まれている』人形を作っていましたが、そこにはフィフィではなくフレイヤが居たんですよ。
それを知ったフィフィも、「どうして私じゃなくてフレイヤを作ったのかな……」というようなことをぽつりとつぶやいていましたし。
いやなんでそこで実の娘じゃなくてフレイヤを作ったの!?そんなことしたら娘グレるよ!??と動揺しました。
ちなみに、良く良く見てみると実はフェリックスは自分自身の人形もこの中の一部としては作っていないんですよね。
一番右に居る男性らしき人形は、どうやらフローラの父親のようです。
だからなんだという話ですが……(やっぱりフィフィの人形も作ってここに入れてあげてほしかったです)。
……結局、ポインター教授はただ怪しいだけの人でした。
フィフィは心底フレイヤを慕う良い子でした(よかった……)。
そしてフィフィとポピーは賢いなあ。
2人とも、フレイヤの才能や愛されキャラに嫉妬している一面がありそうなところが垣間見えていたのに、それでも本当に心の底からフレイヤのことを慕っていたんですね。
素敵な友情でした。
結末、なんだかとても悲しい話でしたね。
普段とは見た目も口調も違い、「ペネロペって呼んで」と静かに告げるペネロペは、まったく別人のように見えました。
ここの会話でペネロペから言われた「Tangle Towerに来て数時間過ごしただけで、みんなのことを知った気でいる」という台詞はグリモアとサリーに向けられているようで、プレイヤーに対しての皮肉のようにも聞こえました。
この息苦しい家で27年過ごしてきたペネロペが抱える闇をプレイヤーが理解する事はきっとできないんだろうなと思いました。
もっと言えば、ペネロペの言っていた通りなのであれば“ここの住人は誰一人幸せではない”そうです。
家に縛られているから?
もうそれこそ「それならもう全員出て行って自由に暮らしたら……いいのでは……」と思っちゃいますが、多分言っちゃいけない感想ですよねこれは。
エンディングは妙にあっさりしていましたが、でもこれはこれでと思いました。
犯人が最後逃げおおせたというのは……多分人によっては物足りなさとか、「ここまでやってきたのに!?」という徒労感とか、そういうものを感じるのだろうなと思いつつ、個人的にはホッとしました。
人が亡くなっている事件なのでこういう感想は間違っているんだろうなと思いつつ、最後に逃がしてもらえたあの虫のように、そして彼女が可愛がっていた鳥のように、ペネロペもこれからは本当の意味で自由になれたならいいなと思ってしまいました。
疑問点など
・結局フローラは“喋れない”の?それともただ”喋らない”だけ?
・フローラの鳥はどこに行ったの?犯人がわざわざフローラの大切にしていた羽根を盗んで燃やした意図は?
・ポピーは何故突然あんなイメチェンを?母親らしき人が映っていた写真(過去のポピーにそっくり)と何か関係あるの?
・亡くなったはずのフレイヤからのメッセージ。あの世界は現世に死者が介入できるの?
・ペネロペは本当にフィッツの事が好きだったの?結婚が目前だったのにTangle Towerへの怒りが抑えられなかったのかな、そうだとしたら悲しい。
・みんなから愛されていてもフレイヤがあんな扱い(自室が物置等)を受けていたのはどうしてなんだろう。
……何か他にも色々とあったような気がしますが、今思い出せるのはこのくらいでした。
色々書いてしまいましたがキャラクターも世界観も好みで、遊んでいる間ずっと楽しかったです。
いつか続編が出たら嬉しいな。
おしまい!