積みゲー崩しと備忘録のようなもの

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Legal Dungeon&未解決事件は終わらせないといけないから

 

 

皆様いつもありがとうございます!
まだまだ暑いですね……。早く過ごしやすい時期になりますように。

 

さて 今回は リーガルダンジョン と 未解決事件は終わらせないといけないから を遊んでいたので感想を書きに来ました。
以前遊んだ事のある『Replica』と同じ作者さんのゲームで、日本語訳(リライト)は『グノーシア』のプチデポットが担当しています。

 

一言感想:罪を犯したことのない人が、まず石を投げなさい

 

 

いわゆるキャリア組である若き警部補、清崎 蒼
捜査係長として中央警察署に配属された蒼は、中央警察署で働く部下たちと共に事件の捜査に当たる事になる。
蒼の主な仕事は検事局へ提出する“意見書”の作成。
部下たちが集めた証言を元に、目の前の人物を起訴とするか不起訴とするか、警察官としての意見をまとめる書類を作る事である。
“重要犯罪を検挙すればするほどランクが上がる”という評価制度の中、蒼と部下たちはそれぞれが大切に思うもののために仕事をしていく事になるが……。

ゲームについて

・日本語音声……ボイス自体なし。
・日本語字幕……あり。
・主人公……清崎蒼。25歳の警部補。女性。
・ゴア表現……一部、文字表現でのグロ表現があります。視覚的に厳しい場面はほぼありません。

 

元々は韓国のゲームなのでゲーム中の制度も当然韓国準拠だったということですが、翻訳の際に丁寧に日本の警察・司法制度に合わせた翻訳が行われたそうです。

 

 

わたしの全エンディング回収時のプレイ時間は10時間前後でした。
意見書作成時に求められる証拠は抽象的で難易度が高い部分があるので、詰まらずに行ければもう少し早くクリアできたのではないかなと思います。

 

※この先はゲームの核心・考察も含めたネタバレとなります。

 

 

 

以前、同じ製作者さんの『Replica』を遊ばせていただいた時、謎解きの難易度が非常に高かった事を覚えています。
ゲーム内だけで完結できる謎解きだけではなく、製作者さんの膨大な知識量に対応できるだけの知識をプレイヤー側も持っていないと解けない謎解きが多数含まれていたことから、そういう印象だけ残ってしまった感じです。
ゲームを遊んでいるだけでも、製作者のSomiさんが非常に幅広い知識をお持ちだとわかります。
「IQが違いすぎる人間と対話をしていてもお互い盛り上がらない」という説がありますが、わたしがSomiさんのゲームをしているといつもその言葉を思い出すくらいには「このゲームを遊ぶにあたって、自分の知識量、察し力が全然足りていないな……」と感じて凹んでしまう事が多いです。

さて、今回のリーガルダンジョンは、用意された調書を読みながら被疑者と対峙し、被疑者を起訴するか不起訴とするか、自分たちの意見書をまとめて提出するのが目的のゲームとなります。
今回の謎解きはゲーム内で提示されている内容だけで全て解くことができます……が、相変わらず難易度は高め。求められている証言がなんとなく予想がつくものもあれば、攻略情報を見に行かないとまさかそれが対応しているとは全く思いつかないものもありました。

難易度の高さに今回も何度か心が折れそうになり、正直、終盤にさしかかるくらいまで「もうこのまま詰みゲーになるかも……」と考えた事もありました。


こう表現するのが適切かはわかりませんが、わたしが面白くなってきたと感じたのは5章からでした。

これは偶然なのですが、実はこのリーガルダンジョンを遊ぶ前、わたしは『マ○ホームヒーロー』という漫画を一気読みしたところでした。
ごく普通のサラリーマンであった主人公がひょんなことから殺人を犯してしまい、愛する娘を“殺人犯の娘”にしないため、様々な手を使って罪を隠蔽しようとする……というような展開が第1部で描かれるのですが、リーガルダンジョンの5章~はマイホー○ヒーローを読んでいた時と同じ心のざわざわ、不快感、緊張感が一気に押し寄せてきて非常にしんどかったです。でも、同じくらい面白くもありました。

 

この世界の警察では犯罪を検挙すればするほど“点数”が上がり、それに応じて警察官が評価される仕組みです。
蒼の部下たちは必死に“点数稼ぎ”のために動きます。ちょっとした暴言を吐いた人物を侮辱罪で起訴したり、フリーペーパーを持って行った老人とその孫を窃盗犯として起訴したり。
捜査係長であり主人公でもある蒼(プレイヤー)はその流れに乗るか、もしくは乗らずに警察内部の闇を晴らす方向で動くかをある程度選ぶことはできます……が、エンディングへ向かうには“内部の流れに乗った上で、自らの手を犯罪行為に染めていく”ことが必要になります。

……というか、主人公である清崎蒼、基本的に意見書作成の時と調書以外で台詞がないせいもあって、いまいち何を考えているかわからないというか……得体の知れない不気味さがあるんですよね。
原田さんと共に『釣り』を行った5章~の展開で、むしろプレイヤーの方が驚愕するというか……原田さんと同じく「え!?このイカれ女、何やってんの!??」とドン引きしてしまいました。
組織の闇に染まるルートを選んだ蒼は他人を踏み台にすることを躊躇わず、それどころか大いなる悪意を持って“道を踏み外さずに済んだかもしれない人”を犯罪者に仕立て上げていきます。
わたし個人は渋川くんみたいな「いかにも正義感溢れる」キャラクターのほうが圧倒的に好きなので、終盤の蒼には恐怖しか感じませんでした。
ただ、蒼の悪事が原田さん意外にバレなかった世界線のエンディングでは渋川くんの意味深な会話もありましたので、彼もまたそのうちにこの世界の闇に染まりそうな気もしています。いきすぎた正義感もまた、ひょんなきっかけから悪になり得ますもんね……。
特に渋川くんが2章で蒼に送って来ていた文章の「犯罪を犯すような奴に人権なんてない」というような一文はかなり過激思想ですよね。犯罪内容によってはわたしも同じことを考えてしまいがちなので、彼の言いたい事もわかってしまう自分に対しても若干落ち込みます。
(でも、人権侵害エンドで原田さんにまで激詰めされる蒼を気遣う発言をしてくれた渋川くんは本当に良い子だなあとも思います。できればこのままずっと清いままでいてほしい……。あの組織に所属している限り、叶わない願いでしょうけど……)

 

とにかくとても胸糞悪い話であったことは間違いありませんが、エンドロールにて流れる作者のSomiさんからのコメントの『他人の苦しみとは我々の外部にあるものであり、共感は不完全で瞬間的なものに留まる。それにもかかわらず、私はこのゲームを完成させた』という一言には大きな衝撃を受けました。
この物語を完成させるにあたって、制作者側がどれほど気を遣って、どれほどの想いを込めたのか。
恐らくわたしが正しく理解できているのはほんの少しだと思いますが、ゲーム中に感じたモヤモヤややるせなさを抱えていくことこそが、この物語を読ませてもらった事に対しての返事にもなるのかなと思いました。

 

(ここから自分用の備忘録も兼ねて話の流れの考察というか、自分なりの解釈を書き留めておきます)

・第1章 今後の物語で重要となる老人と孫の登場。

・第2章 第1章で名前が出た孫が行方不明になっている。老人は孫を捜すものの、警察への不信感から一人で動いている。
渋川の助言に従い今回の被疑者の犯罪歴を見ると、明らかに怪しい前科が……。
しかし今回の被疑者の父親は警察ともかかわりが深い会長で、今回の被疑者を起訴するか不起訴とするかで今後の展開が変わってくる。
→なお、今回の被疑者が自殺志願者に売っていた薬を買おうとしていた人物の中に第1章の孫が含まれている。

・第3章 今回の被害者であるホームレスの死因が“外傷によるもの”か“低体温症によるもの”かで展開が変わる。特に他の事件との関わりは無し?

・第4章 点数のため、原田が「介抱泥棒を釣る為の策」を思いつく。ホームレスなどに酒を提供→酔い潰れて寝ているところを見張る→酔った人物を介抱するふりをして財布などを盗んだ人物を逮捕 という流れ。
上手く犯人を作ることに成功したものの、週刊誌の記者に『今回の犯罪発生に警察が介入した』事がバレてしまう。

・第5章 4章と同じように『釣り』をする。ここまでの展開によって、この釣りに参加する警官が“原田&川口ペア”になるか“清崎&原田”ペアになるか決まる。
今回“釣り餌”として使われた老人は清崎が用意した人物。
老人に泥棒を行うところを現行犯逮捕……するはずだったが、犯人が突如老人を刺殺してしまう。犯人は取り逃した上、現場には監視カメラがあった。遺体が見つかれば監視カメラ映像から『事件前から警官が張り込み、事件を待っていた事』がバレてしまう。
→“原田&川口ペア”は死亡した老人の遺体を山に埋め、殺人自体を無かった事にする。
→“清崎&原田”ペアも同じく殺人自体を無かった事にする。遺体は清崎が引き取る。
ところが、犯人である女が「人を殺してしまった」と自首しに来てしまう。遺体を既に処分している事+女に虚言での前歴がある事を利用して殺人事件を無かった事にするor殺人があった事を認めるかの2択。
(何か関係があるかは不明だけれど、この事件の犯人は犯行直前に“ネットで知り合った人”へ電話をかけている。“ネットで知り合った人”の電話番号は第2章の被疑者(BBTを横流ししていた看護師)のもの)

→“原田&川口ペア”が遺体を隠した場合、山に埋めた遺体が出てきてしまうため殺人事件を隠蔽してもその先に進むことが出来なくなる。

・第6章 被疑者は歯科医の男。妻に対するDV容疑。被疑者は非常に嫉妬深く暴力的な性格で、6歳である息子の目の前でも何度か妻に対して暴行しているらしい。
→渋川は被害者である妻子に寄り添い、男を起訴するべきと主張。
→原田と清崎は被疑者を「犯罪者の遺伝子」と表現。このまま泳がせれば、もっと大きな犯罪を犯すだろうという結論に達する。
暴行容疑で起訴すれば、誰も死なず平和なエンディングとなる。ただし、点数が稼げないため清崎自身や部下たちの昇進は見込めない。

・第7章 この辺りで流れるモノローグは意図が読めないものが多い。
“ぼく”というのは鳥居家の息子かな?でも それにしては化粧の下りとか、いまいちよくわからない。

流れとしては、第1章の被疑者であり第2章で孫が行方不明になったお爺さんを清崎が買収(お爺さんは無職でお金が無い上に罰金刑が確定したという事だったので、恐らくお金を渡した?)→釣り餌として待機していたお爺さんを第5章の犯人が殺害→第5章の殺人事件を隠蔽した清崎、お爺さんの遺体を自宅の冷蔵庫へ。→清崎、第6章の被疑者である歯科医の妻がお爺さんと不倫しているかのようなメールをでっちあげる→メールを見た歯科医、ブチ切れて嫁を撲殺。その後交通事故に遭ったかのように偽装工作→隠しておいたお爺さんの遺体を歯科医の私物である金槌で殴打した清崎、その遺体を燃やした上で発見させて歯科医に罪を擦り付ける。

……という感じだと思うのですが、読み解けていないところも多い気がしています。
まず、お爺さんの孫の行方不明からして不自然なんですよね……。そもそも孫はどこへ消えてしまったのでしょうか。
このお孫さんが居なくなったことで、尋ね人(孫)のビラを作る資金集めとしてお爺さんが釣り餌として仕事をすることになったはずなので、孫の行方不明にも清崎蒼が何か関わっているような気がしてなりません。
蒼が逮捕される世界線のエンディングでは白澤検事が蒼に冷蔵庫の扉を開けさせていたので、ひょっとしたらエンディングの時点でもまだ蒼の部屋の冷蔵庫には誰かの遺体がある?つまり2章よりも前の段階で孫を殺害し、冷蔵庫の中に隠していた可能性もある……んでしょうか。
……うーん、でも「どうやってもう一度殺したの?」というのは=5章で亡くなったお爺さんの遺体を金槌で叩いた時の再現な気がしますし、さすがに2人分の遺体を隠せるようなサイズ感の冷蔵庫が自室にあるというのは考えにくいですよね。原田さんも蒼の自室に入った事、あるみたいですし。

原田さんは完全にこの一連の出来事が蒼の仕業であると気づいている上に“冷蔵庫の中に遺体があった(ある?)”ことにも気づいています。
こんな事が出来てしまう世界線の清崎蒼なら、この後すぐに原田さんの口止めを行いそうで怖い。

 

思ったよりも長くなってしまいましたが、以上がわたしのリーガルダンジョンの感想&考察?になります。

エンディング埋めたら実績も全解除されました。

 

おまけ

レプリカの時に唐突に現れた“碇シンジ”の時も思いましたが、製作者のSomiさんひょっとして相当なエヴァファンなんでしょうか(このサイト名、多分“甘き死よ、来たれ”から来てますよね……?)。

 

未解決事件は終わらせないといけないから について

特に情報を仕入れていたわけではなかったのですが、偶然“リーガルダンジョン”の直後に“未解決事件は終わらせないといけないから”を遊びました。
想定プレイ時間は1~2時間程度。わたしの場合は全てクリアまでに3時間かかりました。

 

こちらはパズル&ノベルゲームです。
ハッシュタグをクリックし、順番を入れ替え、文章を読んで、とある児童失踪の未解決事件の真相に迫ります。

 

※短めですが、ここから『未解決事件は終わらせないといけないから』ネタバレを含む感想となります。

 

未解決事件は終わらせないといけないから 感想

物語自体は短編小説のような感じでした。
真相は切ないものの、分かってしまえばフィクション作品としてありがちな話だったかな……とも思います。

ただ、その物語の“魅せ方”が相変わらず素晴らしい。
話者と時系列をごちゃ混ぜにすることで結論を遠ざけ、少しずつ開示。真相を知りたいという気持ちを掻き立ててくれます。
イラストと音楽も切ない物語を更に引き立たせていてとても良かったです。

 

……しかしリーガルダンジョンを遊び終えた直後ということもあり、どうしてもわたしは清崎蒼にあまり良い印象を抱いていないというか……彼女の事を善人と認識していないので、何とも言えない気持ちのままずっと遊んでいました。

この世界線の蒼はすでに警察官では無いようですが、最後の事件までは中央警察署で勤務していたようです。
パラレルワールドならまだ良いんですけど、これがもしリーガルダンジョンで色々やらかした蒼だったら嫌だな……というのが本音です。笑

 

短編だったからか難易度も今まで遊んできたSomiさんの作品の中では圧倒的に簡単で、物語に集中することが出来ました。
全てが明らかになった後、改めて全員の供述を一から読み直しましたが、これ……どういう進め方をしたとしても詰まないようにできているんでしょうか。
そうだとしたら本当にすごいですよね……膨大な量のタグを使っているので組み立てるのに相当頭使いそうですし、物語を作っていく際にあらゆるルートの方向を試さないといけないですもんね。

 

こちらも実績全解除。

 

では、今回はここまで。

 

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