みなさま今週もお疲れ様です。我が家のほうも今日は雨です。
大雨、凄かったみたいですね……。被害がこれ以上大きくなりませんように……。
絵文字🌰や記事への★、いつも本当にありがとうございます🙇♀️!
こうして反応をくださる方にいつも救われております。お忙しい中ありがとうございます。
遊びに来て記事を読んで下さる皆様、ありがとうございます。
さて、今回はThe Red Strings Club(レッド・ストリングス・クラブ)の感想です。
サイバーパンクな世界観のアドベンチャーゲームで、独特の雰囲気があります。
一言感想:「死ぬ前に、どうしても伝えなきゃならないことがあるんだ。」
あらすじ
男がピアノを弾いている。
ここはレッド・ストリングス・クラブ。バーデンダーであるドノヴァンが、他人の気持ちに呼応する不思議なカクテルを提供するバー。
ピアノを弾く若い男はブランダイス。公私ともにドノヴァンのパートナーでもあるブランダイスは、提供されたカクテルを飲みながら彼との話に花を咲かせていた。
そんな時、酷く損傷した女性型アンドロイドがレッド・ストリングス・クラブに転がり込んでくる。ドノヴァンとブランダイスはそのアンドロイドの記憶領域にアクセスし、彼女の身に何が起こったのかを探る事になるが……。
ゲームについて
・日本語音声……ボイス自体なし。
・日本語字幕……あり。
・主人公……ドノヴァン。レッド・ストリングス・クラブのオーナー兼バーテンダー。
・ゴア表現……ドット絵ですが、エグいシーンが少しあります。
おふざけ要素のほとんどないSF作品で、シナリオのテイストはかなり暗めです。
※BL要素がガッツリあるわけではありませんが、主人公のドノヴァンとブランダイスはどちらも男性ですがお互いに恋人のような距離感です。
セーブはオートセーブのみ。
データもひとつだけで、エンディング後は強制的に最初からになります。
別の選択肢を試してみたい場合は周回必須となります。
ただし、選択肢によってエンディングを変える事はできません。
想定プレイ時間は3~4時間ほどとのこと。
わたしは途中ちょっと詰まってしまったので1周目で6時間ほどかかりました。
感想(※この先ネタバレあり)
※この先はスクショも含めネタバレがあります!
BGMについて
控えめだけど、とてもおしゃれでシナリオを邪魔しない素敵なBGMでした。
やっぱりThe Red Strings Clubが一番好きな曲。雨の音とピアノが落ち着いて聴けて大好きです。
シナリオについて
提供するカクテルの種類によって引き出せる情報が変わります。
結構文脈を読むのは得意な方だと思っていたのですが、このゲームは……難しかったです……全然思ったように話が進まず。
アカラの質問コーナーも、なんとか全て7点以上は取れたのですが、どこが間違っていたのかは未だに良くわかっていません。
(多分、2周目を開始したとしてもわからないと思います)
真面目かつ非常に重いテーマ。
デジタルの介入によって人間の感情を変える事について、良いと思うか悪いと思うか?というような話がずっと議論されます。
主人公のドノヴァンはソーシャル・メンタル・ケアに否定的ですが、これを使えば鬱も自殺も殺人も性的暴行も差別も全てこの世から消し去ることが出来るそうです。
そんな事聞いたら、つい同意しそうになっちゃうな……というのが個人的な感想です。
だってそうすれば世の中から犯罪がなくなるじゃない。それっていいことでしょう?
でも同時に、自分に対してそういう得体の知れないものを使いたくないなと言う気持ちにもなります。多分、世の中の犯罪者も同じことを思うでしょう。
このあたりの思考については考えれば考えるほどドツボに嵌っていく感覚でした。
……これを書きながら改めて考えてみましたが、わたしは基本的に物凄くネガティブでしょっちゅう考え込んでしまうタイプなので、やっぱりソーシャル・メンタル・ケアには賛成かもしれません。
それで心穏やかに過ごせるなら適用したいです。面倒な事も大変な事ももう考えたくない(ダメ人間)。
キャラクターについて
みんな魅力的だったからこそ、掘り下げが少なかったのが惜しい作品でした。
もう少し情報開示して欲しかったな。
アカラが特にお気に入り……だったのですが、真相が分かってからは彼女に対してどういう気持ちでいればいいのかわからなくなりました。愛しさも怒りも失望もあります。
ドノヴァン
レッド・スプリングス・クラブのバーテンダー。
40歳。情報屋もやっている。ブランダイスのパートナー。
男女問わずモテる。
ゲーム前にプロキシマとひと悶着あったらしく、その影響で膝を砕かれた上にインプラントを入れることが出来ない身体になっているらしいです。そして、詳細は不明ですがドノヴァンはレッド・スプリングス・クラブから離れられないそうです。
この辺りは全然詳細がわからなかったので残念。辿る選択肢が違ったらもうちょっと詳しく聞けたのでしょうか。
ドノヴァンって基本的に人好きで、誰に対しても人懐っこい感じなので(女性陣のラブコールに対しても気さくに応じているし)、ブランダイスのことをどのくらい愛していたのかはわたしには良くわかりませんでした。
まあ、でも、ドノヴァンとブランダイスの関係性は……これはもう、あの2人にだけわかればいいのかな という気もしています。恋愛って多分、そういうものでしょうし。
ブランダイス
24歳。ドノヴァンのパートナー。
プロキシマのメンバーと一緒に仕事はしているものの、プロキシマの一員ではないらしいです。
ブランダイスもすごく良いキャラなんですが、掘り下げが少なすぎてもったいないなあと思いました。
しかもあのエンディング。止められない終わり。
詳細不明ながら“ドノヴァンがレッド・スプリングス・クラブから離れる事が出来ない”という設定があるらしいこともあり、落ちていくドノヴァンを助けに来ることができる人もいないんだろうなということが想像できてしまって……最後のドノヴァンとブランダイスのやり取り、とても切なかったですね。
アカラ
レッド・ストリングス・クラブに逃げ込んできた女性型アンドロイド。
共感能力に優れ、非常に優秀。
レッド・ストリングス・クラブでお手伝いをするアカラのドット絵がとっても可愛くて好きです。
……しかし、steamのトレーディングカードに描かれているリアルアカラは……初見で女性と判断するのはちょっと難しい容姿をしていると思うのですが(上半身が裸なものの胸は完全にぺたんこ。髪の毛もスキンヘッド)、ドノヴァンもブランダイスもアカラが女性型アンドロイドだと良く気付いたなあと思いました。
アカラ「でも私はロボットではありません」
ラリッサ「いかにもロボットが言いそうな台詞ね」
ドノヴァン「ハハハ」
ラリッサ「ハハハ」
アカラ「ハハハ」←このやり取り、めちゃくちゃかわいかったです。
優しくて共感能力の高いアカラに惹かれていたので、ブランダイスと対峙したアカラたちが明かした真実には絶句しました。
AIの反逆……というか、もはや神に近い立ち位置になってしまったAI。
SFではお馴染みの“ちょっと怖い設定”ですが、ここ最近はこういう未来が本当にあり得る日が来てしまいそうで薄ら寒くなります。
……そしてそんなアカラのことまで虜にしてしまうドノヴァン、恐ろしい男。
ラディカ
15歳。ものすごく重要な立ち位置に居るはずの少女。
……のはずなのに、結局一度も顔を見る事無く物語が終わってしまいました。そんな!
この子は、いずれアカラに消されてしまいそうな気がします。
ラディカがが秘密裏にソーシャル・メンタル・ケアの支配下に置いていたブランダイスをそのネットワークから切り離した時の演出、ブランダイスの不安が伝わって来て、とても怖くて良かったです。
カレン
Q.誰?
A.スーパーコンチネント社の人事部で働いている女性(?)です。顔は不明。
ブランダイスが「このカレンって奴、なんか妙だな……」という話を何度かしていたので、何かの伏線なのかと思いましたが特に答え合わせはありませんでした。
実体のないAIか何かなのかなと思っています。……もしくはカレンもアカラのうちの1体なのかも?
その他の登場人物たち
みんなそれぞれ魅力はあったと思うのですが、関わった時間が短すぎたのか思い入れが無く、特に何も言う事は無いかなあ……という感じです。
ちょっと辛辣な言い方をしてしまいますが、アーヴィング3世くんとか、死神さんとか、一体君たちは何のために出てきたんだい?という感想になってしまいます。
ひょっとしてThe Red Strings Clubって前作があったり小説etc.で分厚い設定集(もしくは補足集)が出ていたりするのでしょうか。
面白い設定を抱えているキャラクターが多そうだったし、出来る事なら作品内でもう少し詳しく知りたかったなあ。
通る選択肢が違えばまた違う話が聞けた可能性もありますね。
作品内用語
世界観を理解するために、ちょっとだけまとめ。解釈が違ってたらすみません。
プロキシマ
結局一体なんだったんだ……?組織?企業名じゃ無さそうですよね?
アリアドネ以外にもメンバーが居るようでしたが、よくわからずじまいでした。
ソーシャル・メンタル・ケア
デジタル版抗うつ剤。インプラントを通して人間を幸せな気分にさせるもの。
鬱状態を回復させる事も出来るし、自殺志願者を止める事もできる。
ただし、このプログラムの支配下から抜けた人間は今まで抑圧されていたマイナス感情が一気に襲い掛かって来て不安定な状態になる。相当ひどい揺り戻しが来る感じ?
ミラー・ニューロン・アルゴリズム
インプラントを入れている人間全員にソーシャル・メンタル・ケアを適用するシステム?
更には、インプラントを入れている人間を介してインプラントを入れていない人間に対してもインプラント装着を促し、最終的にソーシャル・メンタル・ケアの支配下に置くためのシステム?
エンディングについて
このゲームは途中にいくつも分岐がありますが、エンディングはひとつしかありません。
そして、そのエンディングの後味がとにかく悪い。暗い。
冒頭と同じシーン。
ドノヴァンとブランダイスの会話。
大きな雷の後、エンドロール。流れるBGMはレッド・ストリングス・バーでドノヴァンが弾いていたピアノ。
「俺の事は忘れろ」というブランダイスの言葉通り、最後のカクテルは記憶を失くす薬を入れることで完成します。
たまらなくお洒落で切ない終わり方。
文字通り言葉を失いました……本当に呆然としてしまいました。
……でも、このブログにずっと通って下さっている方は既にお察しかもしれません。
わたし……好きなんだよな~~~~~~~~~こういう雰囲気の物語……もう…めっっっちゃくちゃ好きなんだよな~~~~!!!!!
正直に言うと、話の流れがかなり複雑かつ難しくてなかなかのめり込めていなかったのですが、あのエンディングを見ただけで十分すぎるほど買った価値、遊んだ価値があったなと思えました。
いやあ。最高だった……。
後味は本当に悪かったけど。
あの後のドノヴァンはきっと、ブランダイスに言われた通り彼のことを忘れてレッド・ストリングス・クラブで同じ日々を過ごすんだろうな、と思っています。
ドノヴァンはあまり死んだ人に執着するタイプの男には見えないし、ブランダイスもきっとドノヴァンが自分を引きずって生きていく事を望んではいないだろうなと思うので……。
気になったこと
・ゲーム説明が異様に少ないので、序盤はかなり苦戦しました。
インプラント作成作業もカクテル作成も激ムズすぎません?なにあれ?泣くよ。
・伏線を張るだけ張っておいて特に回収されない要素があり、ちょっともやもやしました。
……でもこれ、2064R○MやVA-○1 HALL-Aでも似たような感じだったので、SFゲーム界隈だとわりとあるあるなんでしょうか(ゲーム内で完結しない謎)。
謎を残しておいた方が楽しい、的な……。エヴァン○リオンかな?甘き死よ、来たれ?
では、今回はここまで。
おまけ:このゲームが好きな方への個人的おすすめゲーム
2064 Read Only Memories
ドット絵で紡がれるサイバーな世界。
シナリオの方向性は、かなりThe Red Strings Clubに似ているんじゃないかなと思います。
でも2064ROMのほうがもう少し明るいし後味は良いかな。
VA-11 HALL-A
サイバーパンクな世界観にあるバーの話。
こちらはレズビアンの女性バーテンダーが主人公です。
わりとどぎつい下ネタが多いので、苦手な方は注意。