前回レビューした9時間9人9の扉 善人シボウデス ダブルパックの続きになります。
前回記事は9時間9人9の扉だったので、今回は善人シボウデスの感想を。
アナタはきっと善人ではいられない
※ゲーム紹介は極力ネタバレ控えめにしたつもりですが、感想のほうはネタバレまみれなのでご注意ください。
※善人シボウデスは極限脱出シリーズの2作目です。
1作目である「9時間9人9の扉」の犯人や真相についてもこの作品内で語られるため、まずは9時間9人9の扉から遊ぶことを強くおすすめします。
実は私は一切知識無しでダブルパックを買ったので、どちらにしようかなで最初にやる作品を選んだのですが、結果999から遊ぶことになり本当に良かったと思っています…さすがに犯人がわかっている状態で推理系ゲームを最初からやるのは厳しい。
あらすじ
2028年12月25日。
帰宅するため大学構内に停めていた車に乗り込んだところ、車内に仕掛けられていた缶から噴射された白い煙を吸い込んで意識を失った主人公・シグマ。
その後、彼はエレベーターの一室で目覚めた。
エレベーターの中には見知らぬ少女が居り、2人は協力してエレベータ―内から脱出する事に。
エレベーターから脱け出した2人は同じく謎の施設に閉じ込められた他の7人と共に、命をかけた「ノナリーゲーム」へ参加させられることになる。
登場人物紹介
(※毎度のことながら主観が混じっています)
キャラクターは前作999だと2Dでしたが、今作は3Dモデルになっています。
シグマ
本作の主人公。男子大学生。
彼のみボイスが無い。
暗すぎず明るすぎずごく普通の、主人公らしい性格。
女性に対しては年齢相応にスケベな面もある。
ファイ(CV.小見川千明)
20歳。クールな性格をしている女性。
生意気で、思った事はハッキリ口に出す。
しかし理性的なので感情任せに行動する事はほとんどない。
ディオ(CV.細谷佳正)
軽薄な口調の若い男性。
自己中心的で協調性がない。
天明寺(CV.納谷六朗)
かなり頑固な老人。
いつもクォークの事を第一に思っている。
クォークとの関係については何故か尋ねても教えてくれない。
クォーク(CV. 釘宮理恵)
天明寺を「じっちゃん」と呼び慕う少年。
無邪気で人懐っこい。
幼いがとても頭が良く、大人たちの会話にも普通についてくる。
アリス(CV. 田中敦子)
妖艶な女性。
四葉とは旧知の仲。
四葉(CV. 田村ゆかり)
999から続けての出演。20歳の女性。
前作同様、明るく元気な性格。
大切な人間に何かあると情緒不安定になるところも変わっていない。
ルナ(CV.能登麻美子)
物腰柔らかな優しい女性。
平和主義者で、他人を疑わない。
かなり若そうだが医療系の免許を持っているらしい。
K(CV. 小野大輔)
妙なスーツを身に纏った人物。性別・名前・容姿・年齢全て不明。
記憶喪失らしく、目覚めた時にはこの謎のスーツを着せられていたという。
ゼロ3世(CV. TARAKO)
畜生マスコット枠。
参加者を小馬鹿にしたような口調の、ダンガンロンパのモノクマみたいなヤツ。
ゲームについて
今作も999と同じく脱出パートとノベルパートを何度も繰り返して各エンディングへ辿り着き、徐々に物語の真相を明かしていくことになります。
今作は分岐点が多く、多少似た展開はあってもルートごとに微妙に違うシナリオと脱出パートが用意されているので退屈しないと思います。
今回の脱出ゲームは全体的に難易度が上がっています。
制限時間は今回も無いのでゆっくり謎解きをすることが出来ますが、所々に複雑なミニゲームがあり、それを解くのも人によってはかなり時間がかかりそうです。
また脱出パートでは難易度の切り替えが行えるようになっており、EASYに切り替えると一緒にいるキャラクターからヒントをもらえるようになるそうです。
※ただし次回作へ続くエンディングを見る条件が「脱出パートを全てHARDでクリアする」なので、コンプリートを目指す場合はもう1度フローチャートから脱出パートに戻って金庫へのパスワード入力をやり直す必要があります。金庫のパスワードは変更なしなので1度脱出してしまえば次はパスワード入れるだけでOK
善人シボウデスはルートによって「あからさまに重要そうなワード」を聞く機会が何度かあり、その内容は他ルートで使用する事になる場合がほとんどです。
重要なことを聞いた場合はその都度メモをしておく必要がある為、メモ帳(アナログでもデジタルでも)を用意しておくと安心。
一応ゲーム自体にメモ機能はついていますが、Vita版だと文字が書きにくくかなり使いづらいので長い文字列を保管するのには向いていないかも。
CEROレーティングはC。
血塗れだったりそうじゃなかったりする遺体描写は度々出てくるけれど、そこまでリアルではない3Dポリゴンなのでそんなにショッキングではない……ような気はします。
とは言えあくまでもグロが平気な私個人の印象なので「絶対に平気です」と断言も出来ないのですが…。
こんな言い方も何ですが今作は死に方のバリエーションが多く、前作より精神的にエグいものは多かったです。
感想(※ここから前作『9時間9人9の扉』の内容も含む盛大なネタバレあり※)
キャラクターについて
シグマ、ルナ、クォークが特に好きです。
シグマはかっこよかったしルナとクォーク(と、K)には会話するたび癒されました。
ずっと「ルナには幸せになって欲しい…」と思いながらプレイしていたので、ラウンジでルナが殺されるルートは悲しかったしルナルートで彼女の正体がわかった時はかなり動揺しました。
そしてルナENDは悲しすぎて泣きそうになってしまった。
あの歴史のシグマは施設内でひとりぼっちになってしまったし、「これは罪のない人間に対する横暴な処刑だ!」と叫んでいるシグマ自身(もはや別人のようなものですが)が恐らくその“処刑”の一端を担っていたわけで……。
せめて残りの余生をルナと2人で過ごせたら良かったのに。
四葉は何回ノナリーゲームさせられるんでしょう。
しかも999でも善デスでもルートによっては何度か死ぬことになるし…不憫すぎる。
冬に拉致られているのに何故か露出度がやたらと上がっているのは何故w
というか四葉がコールドスリープにかけられてから45年経ってるって、ライト……ニルスは大丈夫なの?まだ生きてる?
四葉のことだから45年後って聞いたら真っ先に「お兄ちゃんは?!」と言いそうなのに全く言わなくて私が焦りました。
え、四葉ちゃんラジカル6発症してない?大丈夫?
ファイは……実を言うと最初の頃はちょっと苦手でした。
シグマが22でファイが20なら2歳しか違わないのにジジイジジイってそんな…いくらなんでも生意気すぎるだろうやめたれよ……と思ってたんですが、全ての真相が明らかになった瞬間全部納得しました。笑
ごめんファイ、そりゃジジイって呼びたくもなるし「私と2歳しか違わないなんて信じられん……」と言いたくもなるよね。
何か単語を口に出そうとして全然違うものと言い間違えるシーンが結構あったけれどあれはボケているのか素なのかどっちなの?
ファイは真顔だしシグマも何故かそういう時に限ってあまり強くツッコまない事が多いので判断が出来ないw
感情の起伏が激しいアリスにも999の八代と同じく、しばらくはかなりイライラさせられました。笑
シグマとファイが裏切りを選んだ場合はブチ切れて2回も平手打ちしてきたくせに、こちらが協力で相手が裏切りのルートでは「は?当たり前でしょ、頭悪いんじゃないの?」っておいwファイ、こいつ殴ったれwと思ったんですがアリスルートでデレてくれた時はめちゃくちゃかわいいと思ってしまった。私がチョロ甘なのか…。
普段強気だから余計にグッときてしまったなぁ。
かなり秘密主義者っぽいのにシグマを信頼して全部話してくれたところも嬉しかった。
……感動した直後の結末は無慈悲でしたが…。
ディオは顔と声以外はアレだったのでコメントは差し控えたい。
……と言いたいところなんですが実は彼に対してそんなに嫌悪感はなかったです。不思議と。
なんでだろう、ルートによってはかなり酷いことしている奴なんですが……。
ところでディオ&クォークVSルナのABゲームのルートでは何故彼は素直に協力を選んだんでしょう。
クォークの「そんなの当然だよね!ディオさん!」に対しての返答がやけに歯切れ悪かったので、実は本当にクォークにはディオを従わせられるような裏の顔があるのではないかと勘ぐりましたが全然そんなことはなかった。
天明寺
いや、なんでそんなお爺ちゃんお爺ちゃんしてるんだよw
いくら歳とったからって口調そんなに変わる!?性格も悪くなってるし……。
…でも私は、この作品の天明寺“は”好きです。
茜への執着心が無くなったから…というわけではなく、「クォークと出会えてこれからも共に生きていける今の歴史を後悔していない」点が良かった。
彼らは一連の事件が起こっていなければきっと出会えなかったし、一緒に生活することもなかったでしょうし。
この歴史のクォークと天明寺は穏やかに家族として過ごしていければいい。
ゼロ3世
TARAKOさんのお声好きなので、ゼロ3世はなんだか憎めなかった。
ダンガンロンパシリーズのモノクマやザンキゼロのミライ&ショウもそうなんですが、マスコットキャラクターのCVを国民的人気キャラクターを担当されている大御所声優さんに依頼するのって良い考えだなあと思います。
幼少期から良く聞いている声だと、何故か自然と安心感や信頼感を覚えてしまう(同じ声のキャラクターがたとえどんなにドギツイ表現の暴言や下ネタを発言したとしても嫌悪感より愛おしさのようなものの方が勝ってしまう)のです、私の場合。
もちろん逆に「あのキャラクターの声にこんなこと言わすな(怒)」ってご意見の方も多いのでしょうが……。
茜
ちょっとやだぁ〜 茜ちゃんほんと…… アンタって子は!
アリス何回自殺させられたと思ってんの!もうちょっと申し訳なさそうな顔したらどう!!?
続編でめちゃくちゃ良いエピソードでも聞かない限りアンタのこの悪印象覆せないわよ!
……という気持ちです( ˇωˇ )(あまりの怒りでオバチャン口調)
passにぶどう人形というワードを選ぶあたり淳平への想いはそのまま残ってるみたいですが、茜と関わってしまった事で四葉はまたこのゲームに参加させられて歴史によってはまた殺されてる…と思うと可哀想で仕方ない。
「四葉さん…お久しぶりですね」じゃないよもうちょっと何か他に言う事あるだろ!
シグマ「この歴史以外の歴史では俺もあんたも含めてみんな死にまくってんだけど」
茜「それが運命です。仕方ないのです」
↑うーんなんという非情さ
あんなに大事だったはずの淳平のことすら「能力強化のため」に大事なクォークと共に連れ去ってきて、ルートによって何度も殺されている(その歴史では本当に死んでいる)のを見ているはずですが、いくらなんでもそれでよかったの……?
「この世界における分岐点はパラレルワールド」と明言されたことで余計に首を傾げてしまう。
システム面など
うーん、脱出パートでの操作は999の方がやりやすかった気がします。説明文もわかりにくいものが多くてイライラ。
メモ機能もVitaだと指で操作するせいか使いづらい。私は結局スマホのメモ機能に残していました。
パズル関係はめちゃくちゃ操作がしづらかった…所長室でのパズルは動かしたい方向に上手く動かせずイライラ。
こういう操作はDSだと簡単なことが多いんですが、Vitaだと相性がイマイチなのかな…。
ちょっとレビューを見てみたところ、どうも3Dポリゴンは不評だったみたいですね。
私も、キャラデザやイラストが良いので999みたいに2Dのままが良かったなぁ~というのが正直な感想ですが、途中からはそんなに気にならなくなりました。
ただ四葉のモデルは常に口角が上がっているため不安げなセリフを口にしていてもニヤついてるように見えてしまって少し不気味でした。
逆にディオのモデル…というか表情やモーションはあの小物臭胡散臭さと絶妙にマッチしてて良かった。
私はルナの悲し気な伏し目がちのモーションと、ファイが頬に手を添えるモーションが好きです。
そしてKは瞳の部分が感情によって変化していてかわいかった。
999も善人シボウデスも、既に選んだ選択肢は選んだことがわかるような表示になっているのは親切で良いなあと思います。
私こういう周回ゲーム、選んだ選択肢を忘れてしまうことが多いんですよね。
……あっ、それとBGMが良かった。
複雑な話を聞いていても邪魔にならないのに印象に残って好きです。
シナリオについて
・999は淳平と茜が相思相愛だったのであまり他キャラに関しての話はなかったですが、今作は女性キャラ全員にそれぞれ見せ場があって嬉しかった。
恐らくメインヒロインはファイなのでしょうが、個別イベント(各キャラENDへ至るまでのルート)はアリスも四葉もルナも良かったです(どれもやけに後味の悪い結末のことは抜きにして)。
・クォークの手紙に「ここじゃ親が居る子の方が珍しい」というような事が書かれていた気がするのですが、いったいこの子はどんな荒廃したスラム街で育ったのかと思ったら地球全体がそうなってるんですね。
彼の本当の両親はクォークを産んだ後にラジカル6で自殺してしまったのかな…。
・コールドスリープの話、999のほうでちょっと出た記憶がありますが、あれは今作への伏線だったんですね。
一気に出来たおかげで忘れずに済んだので良かった。
・私が1番『善人シボウデス』のタイトルっぽいな~と感じたのはアリスルートのGAME OVERです。
他のみんな、あれだけ投票前に「お互いに協力を選ぼうね」って言ってたのにシグマ&ルナペア以外は全員が約束破って裏切りをぶつけてるのめちゃくちゃ怖かった……。
そんな中、善人であろうとした(協力を選んだ)シグマは死んでしまうし…。
・さすがにシグマ、手には年齢が出るからあれだけ頻繁に目にしていたらわかるのでは……と考えかけて、あっそうか。そういえば両腕は作り物だったな と思いました。なるほど。
でも声や運動能力は22歳の時のそれとは明らかに違うだろうし、「そっか、きっと長時間薬で眠らされてたせいだな!」であっさり納得してしまったのは不思議。
…しかし天明寺の正体には途中で気づいたもののシグマの事には一切気が付かなかったので、発覚した時には「うわ!そうか!だからシグマにだけボイスが無かったのか!!」と頭を抱えてしまいました。あのシーンのシグマと同じくらいショックを受けたと思います…。笑
・天明寺や茜の性格の変わりようや、最後のシナリオでの「もうあの人(67歳のシグマ)はぼくたちの知ってるシグマさんじゃない」というクォークの発言から、恐らく『同じ人間であっても歩んできた歴史によって性格に違いが出てくる』のだろうなと解釈しました。
私はこの作品で主人公をしていた『この作品内での22歳のシグマ』が好きですが、この歴史上にいる67歳のシグマや次回作に登場しているというシグマの事は好きになれないのかもしれない…と思うと恐ろしくて震えます。なんなんですかこのキャラ萌え人間が絶望しかねない鬼畜仕様w
・何故四葉やアリスは同じジジイの天明寺のことはさん付けなのにシグマのことは呼び捨てだったんだろう。
それにしても、ずっとおじいちゃんが猫語喋ったり四葉が着てたスーツの匂い嗅いだり女性陣に「スク水を見せてくれ」って言ってたと思うとなんだか悲しくなってくるな…。笑
この歴史のシグマを好きなのは変わらないので良いんですけどね。
・セブンといいKといい都合よく記憶喪失になるなーと思ったら、マンドレインβを過剰投与されると記憶障害が起きるって説明されていましたね。
疑問点
・どうでもいいことだけど淳平の苗字は本当に天明寺なんだろうか。天明寺淳平?
・うーん 天明寺とシグマは元々知り合いだったの?
いくら茜絡みだと言っても、知らない人から呼ばれただけでわざわざ月まで行くとは思えないし。
ひょっとして次回作に2人とも出てきてその時に出会う?
・火星のシミュレーション施設でウイルスを漏洩させたと思われる女性の正体は?
・そこでシグマが救おうとした女性とは??
・謎に包まれたカイルの中身(精神的な意味で)。
・ニルスもだけど、サンタはどうなった?セブンや八代は?
・時空超越能力は無いはずの四葉とアリスを肉体ごと過去に戻す方法とは?
・クレイドールズやフリー・ザ・ソウルの詳細
…などなど。
次回作が完結編なら次回作で解決しているはずなので、今悶々と考えても意味はないですね。
その他感想
・茜と喋る時の敬語ゼロ兎がかわいかったです。セリフ二言だけど…。
TARAKOさんの声ほんとかわいい。
・「最低だ……俺って」(※違う)
それにしか見えなかっ ごめんなさい
・普段生真面目な分、Kには笑わせてもらいました。
「父の事を思い出したんです」「ミルクのほうの?」「ふざけないでください(怒)私は真剣に話しているんです」のやり取りが好き。
・506が出てくるルートを確か一番最初にやった覚えがあります。強烈なキャラだったので「きっとこの後も出番あるんだろうな」と思っていたのにまさかのそれっきりで、しかもあのルートでしか登場しないとは!
・“極限脱出”というワードだけに惹かれて予備知識ゼロで購入した作品でしたが、あまりにも何でもアリでびっくりした というのが正直な感想です。
もっと現代っぽい物語なのかと思っていたら完全にSFでしたね。
——などと色々な事を好き勝手に書いてしまったけれど、善人シボウデスは面白かったし全体的に好きな雰囲気でした。
総プレイ時間は43時間半くらい。
ミニゲームに手こずりました。
どのくらい気に入ったかというと、これをクリアした数日後には完結作のZERO ESCAPEも購入してしまったくらい気に入りました。
そのうち遊ぼうと思います。