サイバーパンクな街で淡々と配達をする、Cloudpunk(クラウドパンク)の感想です。
一言感想:サイバーな街で配送ドライブ。
あらすじ
大都会ニヴァリス。人間、アンドロイド、そしてオートマタが共生するニヴァリスでは、毎夜様々な出来事が起きている。
とある事情から出身地を離れ、ニヴァリスへ流れ着くことになったラニア。
ラニアは今夜から企業『CloudPunk』に所属する配達員として、配達の仕事を行うことになるのだが……。
ゲームについて
空飛ぶ車に乗り込み、マーカーを頼りに運転→目的地周辺の駐車場へ駐車→あとは徒歩移動で配達 という流れの荷物配送ゲームです。
一部の配達では時間制限がありますが、基本的にはのんびり配達しても大丈夫。
配達の数をこなすのが目的のゲームではなく、決められた配達を行ってキャラクターたちの会話を楽しむゲームです。
落ちているアイテムは積極的に拾っておくと後が楽になります。
・日本語音声……なし。
・日本語字幕……あり。
・主人公……ラニアという女性。
・仲間……頼れるオペレーターがいます。また、何度目かの配達後、ラニアの親友がサポートしてくれるようになります。
・ゴア表現……視覚的なグロは無し。ただ、独特な世界観で話の内容は全体的にほんのり暗い雰囲気です。
残念ながらもう依頼は来ませんが、クリア後は夜のニヴァリスをドライブでき、やり残したサブイベントやアイテム集めが可能です。
わたしはクリア時点でどうやらアイテムは全て拾いサブイベントも全てこなしていたようです。
その状態でのクリア時間は11時間でした。
store.steampowered.com※上記リンクはSteamのものですが、わたしはPS5でプレイしました。
感想(※この先ネタバレあり)
この先はスクショも含めネタバレがあります!
気になったこと
・運転方法以外の説明は無く、プレイヤーは突然ニヴァリスの街へ放り出されます。
運転は若干癖の強い動きで、慣れるまでには少し時間がかかりました。特にマップ切り替え時(高速道路のトンネルを抜けた後)の混雑はなかなか曲者で、終盤になっても結構な確率で他車両とぶつかりました。もうちょっと安全に配慮した道路交通法が定められてほしいものです。
・ロードが若干長めかも?ただ、マップが緻密なので仕方ないかなとも思います。
ストーリーについて
クラウドパンクの配達人にとって大切と説かれたルールは2つ。
・誤配達をしないこと。
・小包の中身を聞かないこと。
中身を知ろうとするのは厳禁ということでしたが、大抵の場合は配達した直後にお客さんから積荷の中身を教えてもらうことができました。
レゴブ〇ックのような見た目の世界には、最初こそ違和感を覚えましたがすぐに気にならなくなりました。遠目で見る夜景が綺麗。
勝手な想像ですが、Min〇craftで遊んでおられる方はもっと早く街の景色に馴染めそうな気がしました。
ユニークな地名。
原語版だとどういう名前の街なんだろう、とわくわくしました。
ここからはストーリーで印象的だった配達を振り返ります。
・最初のお客さんは、事故で亡くなった両親からの小包を待っている青年でした。
「きっと両親から現金か金塊が来て、目の手術ができる」と喜んでいたようですが……
実際に入っていたのは彼が幼少期に好きだったおもちゃでした。「これから惑星に越し、あなたの目のために慎ましい生活を送って仕送りをしてあげるから待っていてね」という内容の、母親からの愛情溢れる手紙が一緒に入っていました。
………初っ端から後味が悪い!大丈夫かなこのゲーム……と不安を覚えました。
・時計の音がする包み。
かなりワケありっぽい感じ。街中に配達しろとのお達し。
……これ爆弾じゃない?
届けるか、もしくはゴミ箱に捨てるかを選べる。どうしよう……………。でもゴミ箱に捨てたらクビになるんじゃないかな。
散々悩んだ後、配達することにしました。
配達用目的地の場所には何故か『捨てる』と出ていましたが、問題なく配達したことになったようです。
カミュに「これって良いことしてるのかな?」と言われ、ラニアは「言わないで」と渋い反応。
あれ、何らかの犯罪に使われそうですよね……。届けない方が良かったのかな。
……その後、やっぱりあの配達物は爆発したようです。
純粋なワンちゃんアイコンカミュから「ぼくたちがやったの?」と聞かれて鬱。
・昇天と呼ばれるエレベーターに乗る男性からの依頼。
全財産を渡され、「必ず家族へ届けて」と頼まれました。
そのエレベーターは、昇天という名前の通り『終点』だそうです。
雲の上まで昇り切ったら、その後は海へ真っ逆さまに落ちるそう。
自死システムですね……。
理解できないラニアへ、オペレーターは「君はニヴァリス外から来たから、空を見たことがあるだろう?空を知らない人は問題ない。だが、知っている人は……もう一度空を飛ぶために何をするか」と呟きます。
ニヴァリスで懐かしい空をまた見るためには、あのエレベーターで昇るしかないってことみたいです。
彼の荷物を運賃としてクラウドパンクへ届けるか、もしくは、彼の言った通り家族の元へ送るかを選ぶことになりました。
昇天の話が本当であれば、あの人は間もなく居なくなります。
律儀にクラウドパンクへこの荷物を持っていけば、正当に仕事をこなしたとしてラニアの稼ぎになるでしょう。
でも、わたしは彼の荷物を彼の家族の元へ送ることにしました。
わたしが彼だったとしたら、そうして欲しいので。
・アンダーソン社で働くアンダーソンに荷物を運べという謎の依頼。
行ってみたところ、アンダーソン社はアンダーソンという名前のアンドロイドが2000人働いている会社でした。「私は170年昇給していない」と訴えるアンダーソンがいることから、会社をおこしてから既に200年近くになるようです。
会社を作ったミスターAはここにおらず、ラニアは「ミスターAは、とっくの昔に亡くなっているのでは?」と考えます。
そして、ラニアはアンダーソン社から出たことの無い社員たちを全員リセットするか、彼らの自由意志に任せて今後を見守るかを選ぶことになります。
わたしは自由意志に任せることにしました。
その直後、家具の『鳥かご』がアンロックされてしまい気まずい思いをしました。やめて……。
・推理小説の文章のような喋り方をするアンドロイド、ハクスリーは誘拐少女を追っています。少女の名前はパシュタ。
オペレーターに無茶を言って犯人と思しき人間の住所を聞き出しました。
・「あとは君そっくりに作ったアンドロイドにやらせるから、君はお役御免だよ」と言われてしまった歌手の女の子。
積み上げてきたすべてを失って抜け殻となった彼女を連れ、偽物(アンドロイド)のライブに突撃するか、新しい人生を歩ませるか。ラニアに決定権があるようです。
どうやらラニアは自分の出身の島に行けるよう、駅へ送りたがっているようですが……。
個人的にはライブに突撃させたい。この子がずっと頑張って作ってきたものを、全く別のもの(しかし外見も中身もそっくりに作ってあるから気づかれないレベルの偽物)に奪い取られるなんて、絶対許せないです。
でも、かなり権力のある人達が関わっていることのようですからね……。ライブ突撃したら最悪、この子は消されてしまうのではないかという懸念もあります。
とてもとても悩んで、わたしは結局、ライブ会場には行かずに彼女を駅まで送ることにしました。命より大切なものはない。
彼女が別の場所で幸せになれるかはわかりませんが、どうか幸せでいてくれますようにとラニアとカミュと共に祈りました。
・事故現場へ向かい、事故に巻き込まれた人達の救助へ向かうことになりました。
救えるのは3人。誰を救うかはラニア(プレイヤー)の判断に委ねられます。
お金を持っていそうなのはどこかの会社のCEOと画家夫人だけど、2人とも上から目線で苦手。
全員と会話後、起動されたばかりのアンドロイド&女医&騒動の元凶っぽい教授を選びました。
女医さんは絶対助けるべきだと思いましたが、アンドロイドはもしかしたらあの後初期化されてしまうかもしれないし、そもそも人間のように死んでしまうわけではないようなので彼を選んだのは倫理的に良くなかったのかなと思いました。
元凶っぽい教授はあの場から助け出すことで何らかの処罰を受けるかと思いましたが、そういうわけでもなかったので助けずに見殺しにしても良かったのかも……。
・歩いていたら金持ちのカードを拾ったので口座を覗きました(やめろ)。
700ライム強入っており、ふーん、と思いつつ手をつけずに返却へ。
金持ちが勤めている会社の担当の方が応対してくれて、謝礼用の口座番号を教えて貰えました。良いことすると気分が良いですね。
しかも謝礼用講座には1000ライム入っていました!全部もらっちゃったけど良かったのかな。
・「3人まで救える、誰を選ぶ?」と言われた際に見殺しにした画家夫人の旦那から電話がありました。とても気まずい。
旦那からすれば彼女は奥さんであり、大切な人だったんですもんね。今更ながら罪悪感が芽生えました……。
ラニアが淡々と対応してくれて助かりましたが、この後味の悪さどうしたら良いの。
・オペレーターことベンとの最期の会話、双方の声優さんが上手すぎて貰い泣きしてしまいました。
ラニア、明日からもベンの声を聞きながら仕事がしたかっただろうな……。この一晩で知り合った大事な人を何人亡くしたでしょう。ニヴァリスは恐ろしい街ですね。
こんなペースで人(やオートマタやアンドロイド)が死んでたらすぐ街から人が居なくなるぞ!
キャラクターについて
ラニア
主人公ラニアは、元々は音楽を生業にしていたようです。
ラニアは債権会社のせいで(このあたりは詳細不明)家と母と愛犬の体を失い、故郷を離れ、「大嫌いな街」であったニヴァリスで配送業者として働くことになりました。
なお、前任は何らかの事故に巻き込まれて退職したようです。
ラニアは優しく、差別を憎み、スルースキルが高く無用な争いごとを好まない人です。
わたしの理想とする主人公らしい主人公で、とても好感が持てました。
カミュ
オスのワンちゃん……のオートマタ。かわいい。
犬種はボーダーコリーでしょうか?
ラニアのHOVAにインストールされていた汎用AIに代わってインストールされ、ラニアのサポート係&話し相手になってくれます。
ハクスリーに嫉妬してるカミュ、かわいかったです。
優しいギャングたち
可愛くてお気に入りです。
政府は緑を増やしたくない→じゃあ植樹してやるぜ!ざまあ!
政府は子供を遊ばせたくない→じゃあ子供の遊び場作ってやるぜ!遊びやがれガキども!
……と、ただの善い行いをする人間でした。
もっと話したかった。
ダーニャ
クラシックゲーマーのダーニャさん。道端でゲームを拾うとダーニャさんに売却することができます。
クラウドパンク世界は現代よりもずっと未来のお話のようで、東京はすでに滅びているようです(東京っていうか、もしかしたら日本自体がもう無いのかも……)。
わたしもゲームにたくさん救われて、今も救われ続けているひとりなので、ダーニャさんのセリフには共感するところがたくさんありました。
ハクスリー
とても良いキャラでした!ハクスリーはファンが多そうです。
だからこそハクスリーの最期はとても悲しかった……。
ラニアの「あなたはもっと幸せになるべきなのに!」という言葉には共感しかありませんでした。ずっと幸せで居て欲しかった。
パシュタ
パシュタは愛情不足からなのか非常に小生意気な女の子でしたが嫌いではありません。
ラスト付近のすっかりラニアに懐いているパシュタ、とてもかわいかったです。
言いたい事&最後の選択
ストーリーの最後の選択なんですが……
すみません、話が難解すぎてプレイヤーは全くついていけていません!そんな重要そうな決断任せるのやめて!!!
ほんとにわからん。どっちを選べばいいの?
というかラニアにこんな選択させるのおかしい……おかしくない?
これってつまり、地方から上京して新しいバイトの夜勤を始めた初日に突然「首相と意見を出し合って東京の未来を決めてください」って言われた みたいなことですよね?違う??えっ??そんな??わたしはまだトーキョーに来て1日しか過ごしてないんですが???昨日まで最寄りのコンビニまで車で10分強かかるようなド田舎に居たんですが??って真顔で聞いてしまいますよこんなの。
よくわかりませんが、CORAは嘘をついていない気がするってラニアが言ってたし……CORAの子孫を別の街に送信しようかなと思います。
あれ?CORAって喋る度に別のCORAになってるんでしたっけ。
じゃあもしかして送信したところで良いことが起こるという保証もないのかな……。
わからん!わからんのでもうなるようになれ!の精神でCORAの子孫を別の街に送信しました。結局それでどうなったのかよくわかりません。
これ一晩の物語にしては濃すぎるだろ~~~~~~~~!(絶叫)
何人死ぬんだよ!!!!!!!!!!
最後にクラウドパンクのオペレーター(女性)から「お疲れさまでした!」と言われた時は、「いやほんとにお疲れ様ですよ。どう考えても初日の濃さじゃないよ……」と素でツッコミを入れてしまいました。
一晩の物語としてはあまりにも濃すぎましたが、クリア後の読後感は悪くなかったです。
むしろ、とても好きな終わり方でした。
カミュの新しいフレームを届けてくれたのはベンだったのかな……。
ラニアの故郷やお母さんの話、そしてなぜ音楽を辞めることになったのか。
詳細はあまり聞くことができませんでしたが、ラニアにとってとても悲しい思い出なのだろうなと察することはできたので、そこまで不満には思いませんでした。
クリア後は外に出られず、「え、シュールすぎない?パシュタとカミュを眺めて遊ぶだけ?」と思いましたがバグだったようです。
一度ゲームを終了してコンテニューしたところ、部屋から出られるようになりました!
おまけ:このゲームが好きな方への個人的おすすめゲーム
今まで遊んだ中で、ちょっと似ているかな?このゲームが気に入った方は好きになるかも?と思うゲーム
少し近代的な世界観のタクシードライバーとして働くゲームです。
こちらも世界観が独特。
サイバーパンク世界で、親友の作ったロボットと一緒に親友の行方を捜すアドベンチャーです。
個性的なキャラクターがたくさんいます。