(※上記はSwitch版のトレーラーです)
いけにえと雪のセツナを遊びました。
スクウェア・エニックスより2016年2月18日に発売されたゲームです。
※私が遊んだのはVita版です。
同日にPS4版が、2016年7月20日にPC版が、2017年3月3日にSwitch版がそれぞれ発売されているようです。
とりもどそう。ボクたちのRPG――。
ゲーム紹介と感想。
※ゲーム紹介は極力ネタバレ控えめにしたつもりですが、感想のほうはネタバレしかしてないのでご注意ください。
あらすじ
傭兵をしている主人公のエンドは、謎の男からとある少女の暗殺依頼を受ける。
暗殺対象とされる齢18の少女セツナは世界を救う為に選ばれたいけにえだった。
セツナを殺しに向かったエンドだったが、セツナから「今わたしを殺さなくても、わたしは旅の終わりにいけにえとして死にます。あなたもわたしの旅の護衛として一緒に来て、わたしの旅を見届けて」と頼まれてしまい、彼女の護衛として最果ての地を目指すことになる。
注意
※Vita版だけらしいのですが、セーブデータが読み込めなくなるバグというものがあるようです。
私は幸いにもセーブデータ破損は最後まで起こりませんでしたが、どのタイミングで何が原因で起こるものなのかわからないようなので、もしVita版で遊ぶのなら時間をずらしてセーブデータをこまめに複数作っておくのが良いみたいです。
…もし他のハードをお持ちなら他のハードでプレイするのが一番だと思います。後述しますがVita版だと処理落ちやフリーズ、強制終了もあるので…
システム面等について
戦闘システムに慣れるまで結構かかりました。
敵は好き勝手に移動するのですが、パーティメンバーは自由に回避行動を取ったり歩き回ったりすることは出来ないので、攻撃の種類によっては相手の懐に入ったまま棒立ちで敵の攻撃を受け続けるハメになることも……。
(本作はクロノトリガーのオマージュとして世に出された作品で、戦闘システムもクロノトリガーの戦闘を踏襲しているそうなのですが、私はクロノトリガー未プレイなので最初のうちは勝手がわからずアイテムを使うのにすら手間取りました)
Vita版は戦闘時に処理落ちで動作がカクカクすることが多く、刹那システムのタイミング合わせが大変やりづらいです。いつ技が出るのかわかりにくく、許容できなければストレスが溜まるかも。
セーブポイントはダンジョン内のボス戦前にあります。
あとは、フィールド上で△ボタンで出てくるメニュー画面でならいつでもセーブ可能。
村には宿屋などの回復ポイントやセーブポイントが無いので、他のRPGに慣れていると少し不便。
更にVita版は何故か時々フリーズやエラーによる強制終了が起こるので、こまめにセーブをしておいた方が良いです。最近のゲームのオートセーブの有難さを知って泣くことになります。
私も何度か強制終了くらって数時間無駄にしました。
敵を倒して得られる素材を魔導商会で売ることでお金を稼ぐことが出来ます。
敵を倒すだけではお金は拾えないので、村に立ち寄った時はまず魔導商会を探すことになると思います。
料理を食べるとドロップ率アップや経験値アップなど、様々な効果が。
フィールドやダンジョン内、村の中などに光るポイントがあり、そこを調べると食べ物っぽいものが手に入ることがあります。
光は青白く地面も大抵が雪に覆われていて白いので少し見つけづらいです、吹雪いているところは特に。
各村の住人と話していると、それらの食べ物と引き換えにレシピを教えて貰えることがあり、レシピを酒場に持っていくことで酒場からその料理を売って貰えるようになる……という仕組みです。
買う時に材料が必要ないのはいいんですけど、料理自体が結構いいお値段するので序盤は厳しいかも。
メニュー画面に 雪世界の記憶 というものがあり、これが図鑑の役目を果たしています。
出会った人、モンスター、街の情報やあらすじ等もここに追加されていきます。
やり込み要素です。
マップ表示が無いので不安だったのですが、私みたいな酷い方向音痴でも全然問題無く進められるくらいにはシナリオもダンジョンも一本道です。
以下、さらに個人的な感想。
シナリオについて*重大なネタバレ*を含みます。
感想(※ネタバレあり)
雑感
・何年も前に発売されたような古いゲームも色々やってるので、ロードの長さについては私はそんなに気になりませんでした。
でも確かに、言われてみればVitaで5秒以上待たされることってあまり無いですよね。
ロードは我慢できたんですがエラーは……エラーはほんとやめてくれ……という気持ちでした。
1度エラーで強制終了してから、ロード時間で待つたびにドキドキしてしまって心臓に悪かった…(そして油断した頃に再びやってくるエラー→強制終了の恐怖)
・法石の影響(だったかな?)でボス並…もしくはそれ以上に強化された魔物が時々出てくるんだけれど、あれ普通に進みたい道に出てくるのどうにかならないかな……。
タイミングを誤ると戦う気がなくても戦闘が始まってしまうし、逃走アイテムを持っていないとバトルから逃走できないので何度か負けてしまい、かなりの時間ロスになりました。
・誤字脱字が結構多い気がしました。
・雪世界の記憶(図鑑)、キャラやモンスターの説明もかなりしっかり書いてあって読むのが楽しかった。特にキャラクターの説明は、本編で明言されていないこと(キールのお兄さんの最期のことや、ジュリオンさんが料理がド下手くそなこと等)もしっかり書いてあって良かったです。
・音楽はとても儚げで綺麗。
ピアノのみの静かな音が雪景色にマッチしていて好きです。
ボス戦もピアノオンリーなのは賛否両論のようですが、私は統一感があって良いな~と思った派です。
私個人がピアノの音自体を好きだからというのもあるけれど。
・雪景色もとても綺麗。ちらちらと降る雪が大変美しいです。
雪をかき分けて進む感じも良かった……。新雪を踏むときのサクサク、って音も。
結構雪が降る土地に住んでいるので、もうじき来る雪の季節を思って憂鬱になるくらいリアルでした。笑
・実はこのゲームのキャラクターデザインをされてるtoi8さんのファンなので、セリフ画面でキャラクターの顔が映るたびに嬉しかったです。繊細な色使いがこの雪に覆われた世界観にぴったり。
キャラクターについて
セツナとキールが好きです。
優しく純粋で、でも自分の目指すものはしっかりと持っているセツナはまさにRPGの正統派ヒロインという感じ。
現実にこんな女の子はめったにいませんが(笑)、私もこういう、見てるだけで癒されるような女性キャラクターはとても好きです。
エンドが殺しに来たというのに「あなたに出会うこの日をずっと待っていた気がする」と言われた時はさすがにちょっと、「このヒロイン大丈夫かな? つい先ほど殺そうとしてきた相手に自ら人気のない森での護衛を頼んだ上に甘い台詞吐いてくるなんて正気の沙汰じゃない…一目惚れしたの…?」と思ってしまいましたが……。エンドが悪人じゃなくて良かったね…。
基本的に少年キャラに惹かれてしまう病をかかえているのでキールは初めて出てきた時から好きだったんですが、正気を取り戻したジュリオンに嘘をついてあげたところ(魔力で弾き飛ばされたことを黙っていたところ)が特に良かった…まだ小さいのに、なんて空気の読める子。
・そういえばラスボス前で仲間に加わる彼、フィデスのCVが石田彰さんだったので笑ってしまいました。
どんだけ悪役のような仲間のような奴のCV率高いんだ。
何度も苦しめられてきたのでフィデスのことを シニガミクン って名前にしたろうかどうしようか迷ったのは内緒な。
・シニガミクンなどと言ってからかっているのですが、このフィデス、それまでは特になんとも思ってなかったのに4戦目の最後で突然泣き出すわ、その後突然仲間になるわで 終盤の私の興味はほとんどフィデスに持っていかれた感じでした。
人の心がない というか…なんだろう…綾〇レイ系?
こういう時どういう顔したらいいのかわからない、そもそもこの感情の名前がわからない男性(見た目は大人!生後数ヶ月(多分))
そのわりには雪景色はちゃんと美しいと表現するし、雪割草も飽きずに眺める…なにそれかわいいじゃない…。
目の前に進めばラスボス戦なのに、一度町に戻ってフィデスの装備整えたりしちゃってさあ…ちょろ甘ですね(私が)
・……でも冷静に思い出すとフィデスって、あの魔物のお母さんを殺してるんだよな~…。
エンディング後は何故かアマツと行動を共にすることにしたようですが、人と接する事できちんとこれからの彼が人間らしくなっていけるといいな と思いました。(どれだけフィデスに傾倒してるんだ私は)
アマツ、舌打ちしまくるけれどいいやつそうだしね。
・ラスト付近の過去のモル島、現代で大人だった人が子供だったり、現代で存在している子供の父親らしき人を見かけたり…とわくわくする要素が沢山あったのでもっとウロウロしたかったのだけど、ラスボス戦前からずっとセーブできない鬼畜仕様だったのでもしここでエラーが起きたらすべてが水の泡…と思うと恐ろしくてダメでした。家の中にもほとんど入ってない。残念。
シナリオについて
(あまり褒めていないです、ごめんなさい)
いけにえとしてセツナが命を捧げるための旅=旅の終わりにセツナは死んでしまう。
最初からわかっていることとはいえ、セツナも護衛達もその事について一切迷いや葛藤が無く、『ただ目的地を目指すだけ』で淡々としていたので“泣ける”要素は無かったですね。
タイトルに いけにえ と入っているくらいだから、と私が勝手にもっと切ない物語を期待してしまっていたのも良くなかったのですが…。
まあ、あまりにもセツナが死ぬことを怖がったり、周囲が死なないでセツナ!と言い出したりする物語であのラストだと、泣けるけれど後々引きずってしまったのかな。
キャラクターはみんな可もなく不可もなく…という感じ。
少し物足りないかなと思ってしまうのは、テイ〇ズシリーズみたいな、キャラの掘り下げ方に重きを置くRPGばかりやってきた弊害かなぁ。
実は私はRPGをまともにプレイできるようになったのがここ10年ほどなので(レベル上げが苦手&方向音痴でマップ移動が苦痛で避けてきていた)、古き良きRPGの空気が良くわかっていない部分も大いにあると思います。
(実際、昔からRPGに慣れ親しんでいる人の中には、「これぞRPGだ!」と絶賛されている方もいらっしゃいました。)
…ところでラストの2択、私は剣を振るわない方を選んだんですが、後で調べたらどっちを選んだとしても結末は変わらないらしいですね。
もういけにえの旅を遂行しなければならない理由も無いはずなので、セツナに「いけにえの旅を終えるために私を殺してください」と言われたときは ええ~…!??そんなこと言われても… と、結構長い事真剣に悩んだのですが…。笑
儀式によって命が失われるのと、自分の手で剣を振り下ろしてその生命を終わらせるのでは全然意味が違ってくるよね。
エンドがもっとセツナが死ぬことについて悩むキャラだったら一生消えない傷を背負う事にもなる。
いいよいいよ、2人なんとなくいい感じだったし過去の世界で2人で生きていきなよ…世界は救えたんだから。
という気持ちで剣を振るわなかったのですが、エンディング……えっ エンド帰ってきたの?!ひとりで!?セツナは!?
うーん。どちらの選択肢を選んでもセツナは死んでしまったって解釈でいいんでしょうか。いけにえの命はやがて雪になって降りつもる、って言ってたもんね…。
現代で、エンドとセツナ以外のメンバーたちのその後が少し描かれていましたが、あのシーンに一切台詞が無いというのがまた…。
演出だと理解していても、これで最後なんだから何て話しているのか聞きたかったなあ、とわがままな事を考えてしまいました。
あ、でも、クオンが消えていったあとにうなだれるキール→慰めるように頭を撫でるヨミにはちょっとうるっときてしまった。
…実は私がシナリオ内で一番悲しかったのは、名前も知らないキールの友人(つまりモブ)の死でした。
キールが加入した直後の里散策の時には既に病床に臥せており、まだ幼そうな妹と2人で家の中にいた彼。
「僕も元気になったらキールの後を追いかけて旅に出るよ。そうだ、最果ての地で待ち合わせしよう。僕の方が先についたりしてね。ふふ、そうだ、それがいい…」
というような事を話していて、おいそれ死亡フラグだぞやめろ!とヒヤヒヤしていたのですが、ラスボス戦の前にふと彼の事を思い出して立ち寄ってみたら案の定亡くなってしまっていました……。
そんな彼についても、妹さんが話すだけで他にイベントは何もない(もちろんキールからのコメントもない)あっさり感なのですが、家に入った瞬間彼があの場所に寝ていないのを見て、私は物凄くショックだったんです。
なんででしょうね。
疑問点
雪世界の記憶 で、セツナの育ての父ライシンの説明文に「彼の強い魔力は娘のセツナにも受け継がれている」とあるんだけど、セツナと血が繋がってるのはヨミでは……???
そして時の審判者やクオンの「予想外の存在」であったエンドは、結局何者だったのか。
今回の旅ではラスボスがジュリオンの部下にセツナの暗殺を頼んだ→それを偶然エンドが依頼として受けた 事によってお互いの人生が結びついたというだけで、何度も繰り返していた世界にも存在自体はしていたのかな?
最後に
開発の方たちがいらっしゃる島!
とても良かったです。
ああいう遊び心大好き。
強制終了とフリーズに関しては散々書いちゃいましたが、綺麗な雪景色をピアノの音と共に冒険できる世界観は本当に素敵でした。ありがとうございました。