(作者:CHARON 様(ねこふじかおる 様) / CHARONゆにばーす)
フリーゲーム、ほろびのゆりかごを遊んでいました。
ゲーム紹介と感想です。
ゲームについて
猟奇的・暴力的・グロテスクなシーンありのアドベンチャーノベルゲーム。
同性愛表現(GL)もあります。
「外の世界は危ない」……そう言い聞かせられながら白い施設の中で日々を過ごしている10歳の少年、ホタロー。
ホタローの周囲に居るのはホタローの“ママ”であるメギを含めた4人の女性たちだけ。
いつも通りの穏やかな日常を過ごしていたある日、メギが地下道へ食料調達に行くことになるのですが……。
エンディング数は8つ。
まず初期段階から見ることのできる6つのエンディングを回収する事でトゥルーエンドへの道が拓けます。
6つのエンディングでは、各エンディングの最後にパスワードが表示されるので番号と共にどこかにメモしておきましょう。
セーブは物語が進行していくと「うさ」が現れ、そこから出来るようになります。
セーブできる場面が結構限られているようなので、見つけたら(そしてなるべく物語が進みそうなタイミングの前に)セーブしておくと安心かもです。
恐らく1周目では知らぬ間に初期段階から行ける2つのルートのうちどちらかのルートに迷い込んでしまうと思います。
ルートが分岐した時点でセーブをしておいて、各ルートで回収できるエンディングを見た後でもう1つのルートへ進むとちょっと楽かもしれません。
最初にBルートへ進んだもののAルートへの分岐地点がわからない場合(※ネタバレ。反転)→【メギとエンゼリカが食料調達に行くと言い出した時にワガママを貫き通しましょう。何度叱られてもです。】。
この小さな箱庭は何のために存在しているのか?
そして、ホタローが最後に辿り着く真実とは……。
感想(※ネタバレあり)
※特に重要なネタバレ箇所は反転
全エンディング回収まで、トータルで5~6時間くらい遊んだかな……?
多分こんなに時間がかかるゲームではないと思うのですが、作り込みとキャラクターたちの愛らしさに魅了されて「物語が進むたびにあちこち調べ尽くさないともったいない!」と感じ、小さな白い箱庭世界をひたすら駆け回っていました。
とても壮大で凄まじい物語を読みました。これはぜひ何も知らない状態から自分の目で結末を見届けてほしい作品です。
不穏なタイトルと、「このゲームには暴力的なシーンやグロテスクなシーンが含まれています」という注意書きから始まる物語。
身構えていましたが、ゲームが始まってメギが起こしに来てくれた瞬間の雰囲気はとても優しく、幼少期に家族が起こしに来てくれた時のような安心感を覚えました。
ところが、ゲームを少し進めると急に雲行きが怪しくなります。
更に【あれ!?いつの間にかルート分岐してる!?え、どこがフラグだったんだろう……?今までの選択肢?】と動揺。
【私はまずBルートに迷い込み、恐怖の殺戮ショーを震えながら見た後に別ルートへの道を探すことになりました。
色々試してみたらどうやら序盤にワガママを言いまくってメギたちの食料調達についていくことがAルートへの分岐だったようなのですが、察しが悪いせいですぐに「ここでごねまくって食料調達についていけばいいんだな」と考えられず、ルート分岐するまでセーブポイントが出てこない為に何度か最初からやり直す羽目になりました。
だ、だってさ~「約束」って言われたら「…わかったよ」って言いたくなっちゃうし、「ママのことが信じられないの?」なんて言われたら「信じてるよ」って言っちゃうじゃん……言わない……??(そしてやっぱり帰って来てくれなかったママ)】
キャラクターは本当に全員可愛かったです。
中でも特に好きなキャラは……うーーーん…迷うけどミクリさんかなぁ。
男性っぽい女性キャラ、女性っぽい男性キャラが好きなので一人称が「俺」「僕」な女性キャラに惹かれてしまう。
もちろんそれだけでなくて、時々狼狽えたりめちゃくちゃ可愛いこと言ったりするのでその度にときめいてました。
ミクリさんはひょっとして【父親から意図的に男の子みたいに育てられてきていたのかなぁ。だから一人称が男性っぽいんだろうか。】
もしくは、【エンゼリカに好意を抱いていること・一人称が男性っぽいこと・そして子供達から「男の人か女の人かよくわからない」と言われる雰囲気を纏っていることから、もしかしたら性同一性障害なのかな……?とも思いましたが、「女の俺が女を愛したらおかしいか?」と葛藤(?)していた=性自認は女性のようなのでやはり前者かなぁ。】
これ言うとネタバレなのであれなんですがBルートは【リョナラー大歓喜ですね……。可愛い女の子が痛めつけられる話はあんまり得意じゃないはずなんですが、これはやってる方も美少女だからかうっかり萌えそうになってしまいました。
最低な自覚はあるのですが、愛している女性に対して「お前の事なんか嫌いだ」「お前を殺してやる!」と言わざるを得ないような状況に追い込まれてしまったミクリさんの心情を思うとこう……ぞくぞくしますよね……しません?】
それを踏まえた上でCルートの【エンゼリカの心を覗きに行く際にミクリさんを連れて行くと「愛した女に何をされたって平気だよ」みたいな男前発言まで聞けて。いやーなんだこのゲーム。ごちそうさまですありがとうございます】。
……ところでエンゼリカの回想についてのお話なのですが、【回想見てるとどうも幼少期のデモニカちゃんは全然根は悪い子じゃ無さそうなんだけど、エンゼリカさんは大人になったデモニカさん=あんな狂気的なことをやらかす子だと思ってるのでしょうか。本当にデモニカさんの魂が乗り移っての凶行というよりは“デモニカの事を思うと私が幸せに生きている事が申し訳ない”という罪悪感が彼女を悪魔にしたのかなと勝手に解釈しているのですが……。】
Cルートのホタローは本当にかっこよかった。
10歳っていうと小4~小5ですよね。そろそろ思春期に入りそうな年頃とはいえまだまだ子供だし、お母さんに甘えていても全然おかしくない年齢なのにあんなにかっこよくなってしまったらそりゃお母さん嬉し泣きします。
最後の最後に明かされた本当の真相では「えっ」と呟いてPCの前で固まりました。そのくらい衝撃でした。
【メギの正体がAルートとBルートで違う(生身の人間の時とアンドロイドの時がある?)・シェルターに入る際、他にも複数生き残っていたらしい子供達はどこへ消えたのか・5人でトウキョに行くって言っても例のギミック(1名は残って橋をかけなければならない)は……?等、疑問に思っていた部分がいくつかあったのですが、そういうオチなら辻褄合わなくても仕方ないのかな……とすんなり納得してしまった私です。】
あと、ずっと気になっていた【“祈りが届かず我が子をこの腕に抱けなかった母親(?)の記憶”】の謎もこのCルートで明らかに間違ってそうな選択肢を選んだことで解けた気がします。
……ただ、これってつまり【ツナと結ばれるホタローやエンゼリカと結ばれるミクリなんてものは最初から存在しないということに……と考えるとめちゃくちゃショックです。ああこれだから私みたいなキャラ萌え人間は…】
そうだ、マップ上のものを調べる楽しみがあったのも嬉しかったです。
作中には沢山の本が登場しましたが、意味深なタイトルと内容の本の中には作者さんの製作された他のゲームの内容も含まれているようですね。
非常に可愛らしいイラストに容赦のない鬱要素。
こういう世界観は好みなので、ぜひ他の作品も遊ばせて頂きたいなと思いました。