
記事へのスター★、ありがとうございました🙏!
ゲームはずっと遊んでいるのですが、アウトプットに時間がかかってしまうようになり更新ペースが滞ってしまっております。
すみません……。
以前遊び、非常に面白かった『In Other Waters』を製作した方の作品と聞いてからずっと気になっていた『Citizen Sleeper(シチズン・スリーパー)』。
ついに遊ぶことが出来たので、感想を残しておきます。
一言感想:結局のところ、”瞳”は野良のための場所だ。ここで旅を始める者と、ここで旅を終える者のための。
あらすじ

エッセンアープ社の所有物であるロボット―—あなたは、終わりのない労働の日々に疲れ果て、ついに脱走を決意した。
あなたは命からがら逃げ出し、ついに、とある星系に浮かぶ宇宙ステーション(アーリンの“瞳”)へと辿り着く。
あなたはこれから“瞳”でサイクルを過ごし、仕事を見つけ、生存の鍵を見つけて生き延びていく必要がある。
ゲームについて
前作同様にひたすら文章を読み進めていくゲーム……なのですが、今回はシステムが少々複雑です。
更にはSFモノなので、恐らく最初のうちは何が何やらわからないと思います。
日々を必死に生き延びていくうちに徐々に勝手がわかるようになっていくはず。
・日本語音声……音声自体なし。
・日本語字幕……あり。文章を読むのがメインのゲームであり、ローカライズが非常に丁寧です。
・主人公……スリーパー。とある企業の所有物であるアンドロイド。性別不明。
・ゴア表現……なし。
・クリア後について……いくつかのエンディングでは、エンドロール後に最後のオートセーブから始める事が出来ます(※そのまま物語が進んでいくパターンのエンディングもあります)。
最初のエンディング到達まで、わたしは70サイクルでした。
PS5上のプレイ時間は6時間になっていましたが、なぜかだいぶ前から6時間で止まってた気がするので恐らく1周目は10時間くらい……?
その後いくつかのエンディングを見て、最終的なプレイ時間は16時間でした。
感想(※この先ネタバレあり)
※この先はスクショも含めクリアした方向けのネタバレがあります!
プレイ予定の方、未クリアの方はご注意ください。
膨大な文章量で紡がれる宇宙空間での“人生”を体験する、素晴らしい物語でした。
操縦士で1周しました。
トロフィーを見たところ、どうやらレムとミナ関連のトロフィーが2つ取れておらず(IDを捨てる・IDを渡さずに1人で脱出する のパターン?)、そのエンディングのみ取りこぼしたようです。
BGMについて
タイトル画面のBGMだけでも In Other Waters を思い出しました。
シンプルながらとても美しい音で彩ってくれるんですよね。
始める前から神ゲーの予感がしました。
各エンディングの時に流れる優しいBGMがとても好きです。
キャラクターについて
なんやかんやほとんどのキャラクターに愛着が湧いてしまいましたが、特に好きなのは ピーク、レム&ミナ、エンフィス、タラ、モリッツです。
主人公
エッセンアープ所有のロボット。
元となった人間が居るらしい。
記憶や生活についての知恵等は元となった人間の記憶?詳細不明。
主人公の体はエッセンアープ社の技術・秘密保持のため、エッセンアープ社が作る薬を打たなければ急速に劣化して、やがて死に至ります。
更に、主人公はロボットでありながら空腹ゲージもあり、食べ物を食べないとやはり体が劣化して死に至ります。
この空腹に関する部分は、ロボットの主人公としてはなかなか珍しい設定だなと思いました。
最初は空腹機能が正直煩わしく感じた時もあったのですが、お話を進めて主人公に対して愛着が湧いてくると、キノコをおいしそうに食べる姿がとても愛おしくなりました。
ドラゴス

とても良くしてくれたけれど、解体するように言われていた船を調べていたら最終的に仲違いしてしまい、二度と会えませんでした。
彼は一体何者だったのでしょうか……。
サビーヌ

医者。小柄な男性?
→女性だそうです。コメントで教えていただきました。ありがとうございます!
世界観というか、登場した組織の関係性についてわたしがしっかり理解出来ているかは怪しいのですが、それでもサビーヌ周りのドライヴは面白かったです。
ラビアとサビーヌはお互い好きあっているということで良いんですよね??
……しかし、ドラゴスといいサビーヌといい、序盤は出会う奴出会う奴主人公を裏切りまくってくるので結構落ち込みました。
プレイ当時「みんな裏切るじゃん……」とメモしていました。
エンフィス

飯売の男性。
遠くから眺めていたらご飯を奢ってくれました。
目つきは悪いけどとても優しい人でした。
元々はコンウェイの従業員(採掘人?)として働いていたそうです。
働く際にスーツ着用のために手術を受けたものの、スーツは欠陥品で、エンフィスたちは後遺症を抱えたまま放り出されてしまったとのこと。
エンフィスの、無口な優しさがとても心地よかったです。
もっと色々話したかったな……。
キャスター

ちょっと怪しげなおじさん。
一体何者なのか良くわからないおじさんだったな~と思っていたら、追加エピソードにてとんでもない事が分かりました。
最後、何か言いたそうでしたが完全に無視したので何を言いたかったのかはわかりません。
ピークのこと(もしくはスリーパーのこと)撃とうとした奴の話なんて聞くもんか。失せな。
……いや、まあ、今まで散々助けになってくれていた事は認めますが。
でも、今となってはあの数々の手助けも結局お前の会社のためだったんだろ???としか思えなくなってしまったのが悲しい。
フェン

ヘブネッジの技師。
色々こき使われたけれど、フェンは有能なんだなあと感心しきりでした。
追加エピソードでも活躍してくれてよかったです。
ピークから「ヘブネッジのバッジを付けてる君が……」と嫌味?を言われた際、「これしか着るもんがないから」と、軽い冗談口調で受け流したところは正直かっこよかった。
両親の仕事を無駄にしないため、たとえこの先どうなったとしても瞳のシステムを守り続ける と誓ったフェン。
彼もまた、信念を持つ職人なんだなと思いました。
アンキータ

傭兵。女性。
船を直したら、緑道へ渡るための渡し船?の料金をまけさせると約束してくれましたが……
残念ながら2サイクルほど前に正規料金払っちゃったところだったんだよな〜!!!
くそっ!損した。くやしい。
知ってたらこっちを先にやったのに……。
アンキータのドライヴは色々考えさせられました。
主人公は、もう、スリーパーだというだけで相手を特別視しちゃう感じなんですね。
アンキータとアシュトンの一連の流れは、アンキータが悪かったのかなあ……。
スリーパーはアンキータに相当腹を立てていましたが、わたしは全てアンキータが悪いとは思いませんでした。
……なので、後にブリスのところで再会した時の険悪な雰囲気(主にスリーパーからアンキータへの憎悪)にはとても驚きました。
レムとミナ

父親と幼い娘。
レムはいつか“瞳”を出て行きたいと夢見て、他の星へ向かう宇宙船へ乗り込む抽選に参加するため働き続けています。
レムが仕事に行く間、ミナを見ていようかと言ったところ、喜んで子守りを任せてくれました。
レムがとても良いやつなのは分かったけど、もし主人公が悪いロボットだったら大変なことになってたよ……。
ミナはパパ大好きでとても可愛かったです。
人見知りだったミナが徐々にスリーパーに心を開いてくれている描写も丁寧で、小さなミナへの愛しさがどんどん膨らみました。
レムとミナは本当の親子ではないという話を聞いてからも、2人に対する印象はまったく変わりませんでした。
レムはいつも穏やかで、話していると心地よかったです。
そしてミナが「ロボットさん!」と呼びかけて駆け寄ってきてくれるようにまでなった時は嬉しくてニヤニヤしてしまいました。
このゲーム……本当に翻訳が良くて、主人公の独白で印象に残ったものは多くあるのですが、中でも一番印象に残っているのはレムとミナを見送った場合のエンディングです。
ミナがいつの日か、どこか遠い星で成長し、宇宙では体験できなかったことを体験して楽しんでいるところを想像して生きる糧にしようとする主人公は、まるでもう一人の父親(母親?)のようでした。
イーサン

スリーパーを追ってきた賞金稼ぎ。
なんだか可哀想な人でした。
ツケを払ってやったり、一緒にバイトしたり、それなりに過ごしましたが……やはり信用してはいけない人物だったようです。
どうしようもないな……という気持ち半分、やっぱり同情してしまう気持ち半分です。
多分この人、人気あるだろうなと思っています。
ろくでもない奴だったけど、わたしもあんたのこと嫌いじゃなかったよ。(何様??)
タラ

バーの店長。女性。
とても優しくて明るい、素敵な店長さんでした。
こんな人がやってるお店の常連になりたい。
色々と頼んでくるけれど、とてもかわいいから許してしまいます。
まさに「タラの頼みは断りにくい……」状態でした。
タラのお店は、元々はお父さんが始めたお店だったそうです。
タラの両親は既に亡くなっており、弟は別のところに行ってしまいました。
追加エピソードにて、タラは店を離れて弟の居る場所を目指し“瞳”を出ていく事を決めます。
明るく優しく甘え上手だったタラが、遠い地で家族と再会できている事を願っています。
ペトル

追加エピソードのキャラクター。素直じゃない。
前にいたところでは教師だった、と告げつつこちらの反応をうかがってくるところが可愛くてよかったです。
もう少し色々話してみたかったキャラクター。
リコ

植物研究所の所長。女性。
とても高齢らしい。
リコ関連のドライヴでは、少しだけin other watersを思い出しました。
スリーパーのために生まれた珍しいキノコ。
スリーパーのために採取できるようになったもの。
緑道が授けてくれた贈り物。
植物を心から愛するリコに「(緑道は)人間を守るための解毒剤を授けてくれた時のように、スリーパーの存在を歓迎してくれている」と言われたことが、とてもとても嬉しかったです。
リコからの言葉が嬉しかったということはつまり、「わたしは“瞳”にかなり愛着を持っているんだな」と自覚した瞬間でもありました。
ブリス

丸刈りの小柄な女性。メカニック。
技術は確かなのに、裏切られ騙され続けていました。
仕事の報酬を適切に支払ってもらえていなかったようです。
頑張り屋さんで可愛い子でしたが、最終的にアンキータと共に“瞳”を出て行きました(※ここでもエンディング分岐あり)。
え!!モリッツに黙って“瞳”を出て行くの!?と、とても驚きました。
かなり慕ってくれていたんだし、モリッツにはもっと早いうちから話してあげた方が良かったのではと思うんですけど……。
モリッツ

ブリスの助手。ブリスと同じく丸刈り。
元々はブリスのベイに盗みに入ったものの、その後ブリスの弟子として働いています。
しかし突然ブリスから置いて行かれることになり、とても戸惑っていました。
モリッツには行けない理由があったんでしょうか……。
別に出て行けない理由が無いならブリスが誘ってあげて一緒に行けばよかったのでは!?と未だに思っています。
ブリスのこともアンキータのことも好きですが、彼らのドライヴは“瞳”に残るエンディングのほうが好きでした。
1人きりにさせず、モリッツに寄り添ってあげたくて。
ブリスのベイを引き継いだモリッツのところで働くと、スリーパーに今後の仕事の方針などについて話してくれていたようです。
しっかり前を向いて、後継者として頑張ってくれているんですね。偉いよモリッツ。
エシェ

無愛想な女性。
ピークと共に行動する。
あんまり女性キャラでは見ないレベルの愛想の無さでしたね。
このゲーム、ほとんどの女性キャラがとてもガタイが良いのですが、その中でもエシェは他のキャラクターたちからも「腕っぷしが強そう」と見られているらしき描写がありました(ピークとの口喧嘩の際、エシェの剣幕に押されて誰も間に入れなかったり)。
泣いているピークを1人置いていこうとしていた時、エシェも泣いていました。
それでも、「じゃあ、あたしの分まであんたがここで暮らしなよ」「ごめんな、ピーク」という台詞を残してピークを“自由”にしたエシェ。
本当に不器用で強情な子でした。
この先、どうか後悔しない人生を送ってくれるといいのですが。
ピーク

追加エピソードにて登場する長髪男性(?)。
エシェと共に行動する。
※一人称が「私」もしくは「うちら」であり、三人称も「ピーク」で統一されていたと思うので、実際のところは不明ですが、わたしは男性と思って見ています。
穏やかな善人。好きにならんわけない。
エシェに大きな恩があり、恐らく今までの人生の大半、エシェの影に隠れて彼女の言いなりに動いていたと思われるピーク。
電潮波の正体を突き止め、全員の未来を守るために頑張ってくれました。
普段は穏やかで少し頼りない印象を受ける口調なのに、まだ信用出来ない人間(フェン)の前では口調が少し事務的なところ、とても良い翻訳でした。
……スリーパーは、人が居なくなった“瞳”が今後滅びの道から逃れられない予想をうっすらと抱いていました。
わたしは、スリーパーのそんな予感を目にして、「そうか。だったら瞳からは旅立とうかな……」と思っていました。
だから、タラから「お店を継がない?」と言われた時も断ったし、泣いているリコおばあちゃんに「あなたはどうするの?」と聞かれた時も「私は行く(キリッ)」と答えました。
そんなわたしの決意をあっさり翻させた張本人こそ、このピークという男です。
だって、エシェに置いていかれたピークが縁もゆかりもない“瞳”に ひとりぼっちで残るのに、わたしが彼を置いていく訳にはいかないじゃないですか……。
ピークとエシェのあんな最後のやり取りを見せられた後に、さっきまで泣いていたピークを置いて一人だけ他の人たちと一緒に瞳を見捨てて行くなんて、そんなことできなかったです。
すべてはピークのせいです。
最後の最後に、こんな良いキャラを連れてくるなんて。ずるいよ。
おわりに
・作業の集中力が切れてきた ということを「やがて心がさまよい始め」と訳すセンスがとてもとても素敵でした。
原文はどんな感じなんだろう……。
・見る事が出来たどのエンディングも、それぞれに切なさと少しの希望が感じられて良かったです。
・庭師のところでクラウドネットワークの一部になるか、リコたちと共に生活し、手を取り合って生きることを選ぶか……というエンディングも好き。
クラウドに加わり、庭師の合唱隊の一部になるパターンも素敵なエンディングでした。
これはもう”主人公がロボットだったからこそ“の感覚というか……、その決断もきっと、決して悪いことじゃないと感じました。
そして合唱に加わらずに戻ってきたパターンも素敵でした。
自分の手を握るリコの手を、その存在を感じて噛み締める文章がとても沁みました。
・もう後がない“瞳”に残り続けるよりも、他の場所を目指して旅立った方がきっと幸せになれるのだろうなと薄っすらわかっていても、このゲームを始めて1サイクルずつ歩んできた日々ですっかり“瞳”に愛着が湧いてしまい、なかなか離れがたかったです。
・わたしの主人公はきっと、この先もピークと“瞳”を守り続け、時々モリッツのところでアルバイトをして生計を立てて、エンフィスのところでキノコを食べ、リコのところで緑道の生態について学び、フェンと下らない話をして、キャスターに中指を立てながら細々と生きていくんだろうと思っています。
どこか遠い星の向こうにある、彼らの“瞳”での穏やかな生活が、どうか細く長く続いていきますように。
では、今回はここまで。
おまけ:このゲームが好きな方への個人的おすすめゲーム
この作品を作った方のゲームです。
立ち絵は一切無し、文章で想像力を掻き立てていくかなりスタイリッシュな作品ですが、BGMも文章も非常に綺麗でおすすめ。
圧倒的な文章量で世界観に引きずり込んでくる作品。
アル中おじさんとその相棒が、とある奇妙な事件の謎を追う物語です。
文章を読むのが好きな方ならぜひこちらも!
![Citizen Sleeper (Original Soundtrack) [Analog] Citizen Sleeper (Original Soundtrack) [Analog]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Rgv8XGnvL._SL500_.jpg)