少し前にThe Stanley Parableを遊んでいたので感想を綴りに来ました。
ナレーションに沿って進むはずの物語の主人公を操作し、ナレーターをおちょくって色々な結末を楽しむADVゲームです。
一言感想:遊び心満載だけれど実績を全部達成したい派の方には厳しいゲーム
あなたはあらすじを聞いた
『とあるビルの中で、出された指示に従ってPC画面のボタンを押すだけの仕事をしている従業員番号427番のスタンリー。
ある日スタンリーは同僚たちがみんな居なくなっている事に気づき、部屋を出て同僚たちを探しに行く。
まず、スタンリーは部屋から出て真っ直ぐ進んだのだった…………』
↑……というようなナレーションに従ったり従わなかったりして様々な結末を見るゲームです。
『まっすぐ進みました』という彼の言葉に従って真っ直ぐ進むもよし、明らかに怪しげな脇道に逸れてナレーターの慌てっぷりを楽しむもよしです。
進め方にもよりますが、一周は短めです。
わたしの場合、一周目は10分程度でした。
ゲームについて
・主人公……Stanley(スタンリー)。台詞なし。
・日本語音声……なし
・日本語字幕……なし。
※有志の方が日本語字幕を作成・配布してくださっています。
ゲーム中、とある選択によって再生されることがある“教育ビデオ”の前半部分はゲームの仕様上字幕表示ができなかったとのことです。
日本語翻訳を記載してくださっています。
当ブログでのスクリーンショットはこちらの日本語字幕を適用後のものです。↓
感想(※ネタバレなし)
怒られそうなのですが、確かこのゲームはSteamのセール時にかなりの安値で購入したこともあって正直もっとしょうもないものだと思っていたので、想像よりもずっと楽しめましたし満足でした。
1周目にナレーションに従って行動し、数々の謎を抱えたままさっくりと終わるよくわからない短編物語。
2周、3周、4周と遊ぶたびにその短編物語とナレーター、そして一切言葉を発することのないスタンリーの人物像に何故かどんどん深みのようなものが生まれる手法は見事でした。
未プレイの方はこの先へは進まず、ぜひご自身でスタンリーとナレーターの奇妙な体験を一緒に追いかけてあげてほしいです。
もっと感想(※この先ネタバレあり)
わたしは意外とナレーション等で「こうしました」と指示を出されたらその通りに行動しがちな人間かも……と思いました。
実際、1周目はまだ操作に慣れていないこともありナレーションの通りにスタンリーを行動させて無難に、そしてたくさんの謎を抱えたまま物語を終えました。
そのおかげで1周目は10分程度。
暗い部屋から外に出られた時、青空の綺麗さに見とれました。
やっぱり晴れた空は気持ちがいいですね。
さて2周目。
今度は手当たり次第に辺りを触りまくっていたらナレーションの様子がおかしくなりました。
左のドアに入ったという指示を無視して右のドアへ入り、のんびり部屋の中を観察していたらナレーションが若干イライラし始めます。
面白い。
散々ナレーターをおちょくっていたら高所からの飛び降りが出来ないように柵を付けられたり、1周目では下りるための階段があったはずのところの階段が消え失せていたり色々と手を加えられていました。
ドアやアイテムを調べてもあまり反応が無いので始めた当初は「あちこち調べた時の面白さはあんまりないかなあ」と思っていたのですが、思いつく限りのことをやってみると結構色々できてしまって面白かったです。
例えば途中で道を外れて下りられそうな道に飛び降りてみるとか。
この反応がちょっと可愛くてナレーターに愛着がわきました。
嫌だよねせっかく喋ってるのに無視されるの。ごめんね。
その後もナレーターの苦労は続き、スタンリーがどうすれば自分の指示を聞いてくれるのか試行錯誤を重ねた結果途中でゲームが急に昔のフラッシュゲームみたいな見た目(ベイビーゲーム)になったり、マイ○ラになったりしました。
……そしてベイビーゲームを4時間続けることで辿り着けるエンディングがあるらしくて戦慄しました。
いくら作業ゲー好きとは言ってもちょっとさすがにわたしにそれは………無理かな……。
外国人みたいに「oh……」と素で呟いてしまいましたよ。
驚かせやがって。
掃除用具入れにしばらく立てこもった時のナレーターの反応が好きです。
(「誰かー!このパソコンの前の人、死んでますよー!代わりにゲームをプレイする人来てください!」とナレーターが延々騒ぐやつ)
スタンリーの職場に関する明確な答えはやっぱり最後まで無いようなのでもやっとしたものは若干残りますが、ホラーでは無いのにじわじわと怖さというか不安を感じる演出が多くて好みでした。
こういう得体の知れない不気味さのあるゲーム、好きなんですよね。
気が付かないほど小さな綻びから生まれていく様々な分岐点。
シンプルながら面白かったです。
わたしはこういうゲームを遊んでいるうちにどれを選んでどれを選ばなかったかだんだん忘れがちな人間なので、まだ見つけられていない分岐もきっとあるのだろうなあと思います。
また忘れた頃に遊びに行けるといいな。