積みゲー崩しと備忘録のようなもの

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返校 -Detention-

 

 

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store.steampowered.com

redcandlegames.com

 

steamで購入した返校 -Detention-を遊んでいました。
台湾のゲームですが、公式日本語訳があります。

 

ゲーム内容→ホラー×探索&謎解き×脱出系ゲーム

 

 

 

ゲームについて

1960年代の台湾の学校が主な舞台となります。
題材として台湾実際に起きていた白色テロ(※左記Wikipediaへのリンク)が扱われており、ただ単に幽霊が出てきて怖い!というホラーとは少し毛色が違っています。

 

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結構エグい描写があり、流血表現や暴力描写など過激な場面もあります。
ホラーということから全体的に画面が暗く、びっくり・脅かし系の怖さや追いかけ系の怖さもあるのでホラー・グロ等が極端に苦手だという方は注意が必要です。

 

操作はほとんどマウスクリックです。
移動も左クリック。
調べられる箇所はマウスカーソルの形が変わります(瞳、ドアのマークなどに)。
画面下の方にカーソルを動かすと現在持っているアイテムのリストが出てくるため、随所でアイテムを使用して行ける場所を増やしていく事になります。

 

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セーブは章ごとにオートセーブされる他、少しストーリーが進むと各所にセーブポイントが現れるようになります。

 

 

 

感想(※ネタバレを含みます)

特にネタバレになりそうな部分は反転

 

1周目クリア時にsteamに記録されていたプレイ時間は7時間でした。

ただ、わたしの場合は途中謎解きに詰まってしばらく彷徨ったり家事をするために電源を入れたままPC前から離れたりしたので、謎解きに詰まらず一気に遊べれば3~4時間くらいでクリア出来そうです。

 


タイトル画面からもう結構怖い。

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実写っぽい写真や映像が出てくると途端に恐怖感が増すと思うのはわたしだけでしょうか。
BGMがとても良かったです。ホラー系ゲームのわりに結構喧しめなくらい色々な音楽が使ってありましたが、全ての曲がどんな場面でもいい感じで恐怖を煽ってくれました。
暗がりから何かが出てきそうな恐怖とモノクロ、仄暗い雰囲気がじっとりと気味悪くて素敵でした。

最初、【「主人公が男の子?女の子かと思ってた」】と思いながら進めていきましたが、【レイちゃんを気遣う礼儀正しいウェイくんの“しっかりした男の子”感に癒され「ウェイくんいい子だなあ!それにやっぱりホラー系ゲームは複数居た方が恐怖も薄れてイイネ」】と思い始めた矢先のアレでしたので最序盤から結構心にダメージを負いました。笑

 

壁やメモの言葉は中国語だからきちんと翻訳してある部分じゃないと正確には読めないんですが、英語とかその他の言語とかよりはまだ「なんとなく意味がわかる」言葉も多くておもしろかったです。

 

ゲーム内で使用されるお線香や仏像等も、同じ仏教徒が多い日本で見かけるものと似ていて馴染み深いからか「海外のゲームだけど似たような感性で怖さを楽しめる」作品かなと感じました。
わたしは特に熱心な仏教徒というわけでもなく、恐らく日本人に一番多いであろう無宗教の「まあお葬式といえばお寺で、供え物といったらお線香と茄子ときゅうりかな……えっだって先祖代々そうだったらしいから……」というタイプの人間なのですが、単純に神社やお寺を始めとする和風の建造物・家具等を見るのが好きなのでゲーム内で登場する小物や背景を眺めるのも楽しかったです。

 

謎解きは大体ノーヒントでいけました。

…………嘘です。
実は【放送室&音楽室が停電した際、どうしたらいいのかわからず1時間ほど校舎内を彷徨いました……。まさか同じ廊下に電気のスイッチがあったなんて】。
完全に自分の調査不足でした。

 

あと躓いたのは【時計】!
両親+レイちゃんの写真に浮かんだ模様で時刻を合わせるということはわかったのですが、傾いていたお父さんとお母さんの写真は向きを合わせないといけなかったんですね。ここにも気づけず、かなりタイムロスしました】。

 

謎解きの難易度とは関係ないもののなんとなくふと気になったのが【黒電話のギミック】。
わたしは子供の頃にちょっと触る機会があったので黒電話の掛け方を辛うじて知っていますが、わたしの年代(※もうかなりいい歳した大人)でも使い方知らない人も多いそうなので、若い子は使い方わかるのかな?】と余計な心配をしました。

 

※以下はストーリーの終盤に関する感想です。ネタバレしか無いのですべて反転にしました。

いつもの事ですが、ダラダラ長い上に頭の悪さが露呈している文章なのでご注意ください……('、3_ヽ)_

 

 

 

レイちゃんがイン先生とチャン先生の会話を盗み聞きしている場面の回想(?)シーンで、イン先生が「あの子はまだ子供なのよ!」と言っていたので、チャン先生レイちゃんに何したんだ……とチャン先生をちょっと軽蔑しそうになったのですが、別にチャン先生はレイちゃんに男女の仲を迫ったわけではなく“知識という名の翼を与えようとした”のでしょうか。

この時代の台湾で禁止されていた本の内容というものがどんなものだったのか勉強不足のわたしにはわかりませんが、彼女に知識を求めさせるよう促すことで“不満があっても口には出さない、昔ながらの嫁を演じようとする母が嫌いだった”というレイちゃんに対して「女性でもきちんと知識を身に付ければ理不尽な事とも戦えるし、必ずしもお母さんと同じ生き方を選択する必要が無いことに気付ける」という事を教えようとしたのかもしれないなと思いました。

だけどレイちゃんは知識を追い求めることではなく、チャン先生と深い仲になることを望んでしまった。

……でもこれはねー、自分が女だからそう思うのかもしれませんが、ちょっとチャン先生もやり方が良くなかったんじゃないかなと思います。

大人から見れば17歳ってそりゃ子供ですが、17歳といえばもうほとんど性格や人格も固定されて安定してきて、思考についてはもう大人と遜色ないくらい成長している頃だと思うんです。大人と比べて足りないのはそれこそ知識だけ、という感じに。

そんな17歳の異性相手に休日2人きりで映画観に出かけたりプレゼント(ネックレス)贈ったり……っていうのはまずかったんじゃないかな。

 

……で、チャン先生とイン先生が実は男女の仲だったと思ってしまった(恐らく)レイちゃんはあんなことをしてしまうのですが。

教官にリストを渡したときのレイちゃん、「担任の机からこれを見つけた」と言っていますので、わたしは『レイちゃんはイン先生に対しては確実に殺意に近い感情を抱いていた』と解釈しています。

鏡のある部屋のシーンでも「あなたさえいなければ」というようなことを言って躊躇いなく引き金を引いていますし。

 

……でも結局、殺害またはそれに近い形まで失墜させたかったメインターゲットのイン先生は逃げ延び、チャン先生が殺害されてウェイくんも投獄されてしまった。

個人的には、この点が“レイちゃんが自死を選んだ自責の念と後悔”を負った原因になったのではないかなと考えています。

逆にチャン先生が無事でイン先生が処刑されていたら彼女は死を選ばなかったのかもしれない。もちろん、実際はどうだったかは誰にもわからない事ですが。

 

自分の行動がチャン先生やウェイくんを犠牲にしてしまったことから彼女は自ら死を選び、その後も学校に縛り続けられています。

わたしは1周目をバッドエンドで終えたのですが、恐らく彼女が最初に選んだ自殺の方法は飛び降りかなと勝手に思っています。

始めて屋上に行った際に飛び降りた女子生徒が『自死当日のファン・レイシンの記憶』なのかな……と。

 

本来は亡くなっていないはずのウェイくんやイン先生が死んだことになっている描写が度々出てきましたが、きっとあれもレイちゃんの中の強い後悔が見せる幻なんでしょうね】。

 

……と、ここまで↑書いた後にトゥルーエンドを見ました。

もう なんて言っていいのか……バッドエンドよりもむしろつらかったです。
色々な事を知ってしまったことで、逆に悲しみの感情が増幅された感じ。

 

まずはチャン先生の本心。
あれってつまり、“チャン先生は本気でレイちゃんの事を好いていた”って事で良いんですよね。
じゃあイン先生がチャン先生に言っていた「私たちのことはどうするの?」っていうのは2人の間に男女関係があったわけではなく“政府に見つかるとどうなるかわからないような行動をしているという事をあの子(レイ)に教えるの?”という意味だったのでしょうか。

でも、じゃあ……チャン先生が急にレイちゃんに冷たくなったのは何故だったのでしょう。

徐々に危険さが増してゆく読書会の事を、レイちゃんには知られたくなかったから?

 

わたしはてっきり「レイちゃんもチャン先生からの勧誘を受けて読書会の一員になりかけていた」ものだと思っていましたが、そうじゃなかったのかな。

メンバー以外に流出したら大変な事になる読書リストをウェイくんから受け取っていた事からもそう解釈していました。

でもひょっとしたらあれは、ウェイくんがレイちゃんに対して憧れのような気持ちを抱いていたからこそ“レイちゃんを信頼して、イン先生にもチャン先生にも内緒で預けた”ものだったのかな……。

最後に見つけたメモの内容からしても多分ウェイくんは、誰がリストを流出させたのか察しがついていたけれど黙っていたのだろうし。

その一方でチャン先生はきっとレイちゃんが読書リストを入手したことも、レイちゃんのせいで自らが死ぬことになったということも、何も知らないまま亡くなったんだろうな……。

 

ウェイくんは服役している間に家族を失い、悲しみを背負って日々を生きていました。

彼の刑期は15年という事だったので出所した頃には30代前半だろうという感じですが、終盤に登場するウェイくんは恐らくそれ以上の年齢。

レイちゃんを操作して大人になったウェイくんを追いかけていた時と、エピローグ(?)でウェイくんを操作している時の校内の様子は少し違っているように見えます。

具体的には、廃墟感が増している=更に年月が経っているように見えました。

(と言いつつスクショを撮って見比べたわけではないため、過去→現在を何度も行き来する中で時系列があやふやになってきていたわたしの記憶違いで全然変わってなかったらすみません……)

きっとウェイくん、出所してから学校に何度も何度も来ているんでしょうね。

もうじき学校が取り壊されると知り、また足を運んだのが最後のシーンなのではないでしょうか。

 

……ウェイくんとすれちがったお婆さんが「天国にも地獄にも行けずあの子は彷徨い続ける」と話していた事から、レイちゃんはあの後もきっとずっとあの場所で彷徨い続けるのだろうなと思いました。

“自殺した魂はどこにも行けず、何度も同じ場所で死にながら悔やみ続ける”という話を聞いたことがありますが、ひょっとしたら台湾でも自死後の魂に関して同じ噂があるんでしょうか。それとも仏教共通の教えなんでしょうか……? あまり詳しくなくて。

……もしも仮にその話が本当だとして、「この苦しい現実から一刻も早く逃げたい」という気持ちから世を去った人たちの魂がこのゲームのレイちゃんみたいにぐるぐると同じ悪夢を見続けながら縛り続けられているのだとしたら、つらい話だと思います。どうか安らかでいてほしい。

 

トゥルーエンドを遊ぶことで少しはレイちゃんが救われるかなと思ったんですが、わたしの解釈では逆に絶望感だけが強まってしまいました。

何度も何度もあの世界をループしては「彼の隣こそあなたのいるべき場所」と人生の目的を再確認しながらも、彼=既に故人であるチャン先生=彼の隣…つまり天国 に辿り着けないのか……と思うととても悲しいです】。

 

心はズタボロですが、夏の暑い盛り、ちょうど8月のこの時期にこのゲームを遊べたのは良かったなと思います。

各国で行われてきた白色テロとか、(今回のゲーム内容に直接関係ないとはいえ)戦争のこととか、……色々と考えさせられました。

現代の日本に生きていると「もうこんなことこの先は絶対起きないでしょ」と高をくくってしまいがちなのですが、この先この国が、世界が、どうなるかなんて誰にも分からないですもんね。

この先ずっと日本も世界も平和であってほしいです。